興収で読む北米映画トレンド
『トロン:アレス』北米No.1も苦戦 『ブレードランナー 2049』の悪夢再び
第2位には、チャニング・テイタム主演の犯罪コメディ『Roofman(原題)』が初登場。元兵士の泥棒が刑務所を脱獄し、「トイザらス」で潜伏生活を送るという“まさかの実話”だ。興行収入は週末3日間で800万ドルと決して高くないが、辛うじて予測の範囲内であり、製作費も1900万ドルと低予算のためコスト回収のハードルは低い。
共演はキルスティン・ダンスト、ラキース・スタンフィールド、ピーター・ディンクレイジほか。監督は『ブルーバレンタイン』(2010年)などのデレク・シアンフランスが務めており、Rotten Tomatoesでは批評家84%・観客85%と高評価を受けている。日本公開は未定。
そのほか今週は、第3位にレオナルド・ディカプリオ主演&ポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』が変わらずランクイン。週末興収は前週比マイナス39.3%と堅調で、北米興収5450万ドル、世界興収1億3800万ドルとなった。以前から触れているように、本作の成否は映画賞シーズンまでひとまず持ち越しだろう。
公開2週目のドウェイン・ジョンソン主演映画『The Smashing Machine(原題)』は、週末興収179万ドル、前週比マイナス69.2%と大幅に下落した。ランキングでも前週の第3位から第8位まで急降下し、A24としてもジョンソンとしても厳しい結果と言うほかない。こちらも映画賞シーズンでの健闘が期待されるが、どうなるか。
なおトップ10圏外には、ミュージカル『蜘蛛女のキス』を実写版『美女と野獣』(2017年)のビル・コンドン監督が映画化した『Kiss of the Spider Woman(原題)』と、名匠ルカ・グァダニーノ監督のもとにジュリア・ロバーツ、アヨ・エデビリ、アンドリュー・ガーフィールドが集ったスリラー映画『After the Hunt(原題)』が初登場。後者は次の週末に全米拡大公開され、その真価を問われる。
北米映画興行ランキング(10月10日~10月12日)
1.『トロン:アレス』(初登場)
3350万ドル/4000館/累計3350万ドル/1週/ディズニー
2.『Roofman(原題)』(初登場)
800万ドル/3362館/累計3362万ドル/1週/パラマウント
3.『ワン・バトル・アフター・アナザー』(↓前週2位)
667万ドル(-39.3%)/3127館(-507館)/累計5450万ドル/3週/ワーナー
4.『ギャビーのドールハウス ザ・ムービー』(→前週4位)
335万ドル(-37.1%)/3049館(-458館)/累計2643万ドル/3週/ユニバーサル
5.『Soul on Fire(原題)』(初登場)
300万ドル/1720館/累計300万ドル/1週/Affirm Films
6.『死霊館 最後の儀式』(↓前週5位)
293万ドル(-29%)/2334館(-419館)/累計1億7244万ドル/6週/ワーナー
7.『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(↓前週6位)
225万ドル(-36.7%)/1834館(-713館)/累計1億2863万ドル/5週/ソニー
8.『The Smashing Machine(原題)』(↓前週3位)
179万ドル(-69.2%)/3321館(-24館)/累計980万ドル/2週/A24
9.『The Strangers: Chapter 2(原題)』(↓前週8位)
155万ドル(-45.5%)/1878館(-812館)/累計1349万ドル/3週/ライオンズゲート
10.『The Good Boy(原題)』(↓前週9位)
136万ドル(-42%)/1650館/累計486万ドル/2週/IFC Films
(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年10月13日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)
参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W041/
https://variety.com/2025/film/box-office/tron-ares-box-office-opening-weekend-roofman-kiss-of-the-spider-woman-1236544376/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/tron-hits-the-skids-box-office-opening-1236398953/
https://deadline.com/2025/10/box-office-tron-ares-1236577172/