『放送局占拠』『日本統一』で注目 北代高士が語る、小沢兄弟への感謝と藤井道人との夢

 『放送局占拠』(日本テレビ系)第2話で、“死の熱湯風呂”の上で四つん這いにさせられる人質・三河龍太郎を演じ、話題を集めた北代高士。今期の連続ドラマでは『日本統一 東京編』(テレ東系)にもレギュラー出演しており、任侠俳優としても注目の存在だ。そんな北代に、俳優になったきっかけや、大学の同期・藤井道人とのエピソード、『放送局占拠』や『日本統一』シリーズの裏話をたっぷり語ってもらった。

“小沢兄弟”が芸能界の親父みたいな存在

ーー今期は『放送局占拠』に『日本統一 東京編』と大忙しなクールでしたね。

北代高士(以下、北代):『放送局占拠』は脅される側で、『日本統一 東京編』は脅す側で(笑)。ギャップのある役柄を同時期に演じられて楽しかったです。

ーー『放送局占拠』に三河役で出演することが決まったときはどんな気持ちでしたか?

北代:『占拠』シリーズは以前から観ていたので、素直に嬉しかったです。ただ、もしも呼んでいただけるなら、脅す側か警察サイドだと思っていたので、「人質役です」と言われたときは驚きました。「脅される側なんだ!」って。

『放送局占拠』©︎日本テレビ

ーー第2話の“熱湯風呂”は大きな話題を集めましたね。

北代:ありがたいです。台本に「2時間熱湯風呂の上で耐える」と書かれていたので、撮影前に家で試してみたんです。

ーーえっ!? あれをですか?

北代:はい。僕、体験できることはやってみようと思うタイプで。『歌姫』という舞台で高知県に住む漁師の役をやったときも、実際に高知県まで行ってカツオの一本釣りを体験させてもらったんです。今回に関しては、さすがに100度のお湯は危険だと思ったので、2時間四つん這いの姿勢で耐えられるのかをタイマーで測りながら。

ーー実際にやってみていかがでしたか?

北代:だんだん子鹿みたいになっていきました(笑)。もう、身体をクネクネしないと耐えられないみたいな状態で。監督も自らやってみるタイプの方だったので、撮影前に「やってみていいですか?」と私服のまま熱湯風呂にダイブされていました(笑)。スタッフさんが大盛り上がりしていましたね。

ーー主演の櫻井翔さんとはお話されましたか?

北代:させていただきました。初対面がメイクルームだったんですけど、櫻井さんが新聞を読んでいらっしゃったんです。どうしようかなと思ったんですけど、時間もなかったので「すみません。北代高士です」と声をかけたら、新聞を閉じて立ち上がって、「櫻井翔と申します」って。小さい頃からずっと見てきた存在だったので、「いや、知ってるよ!」と思ったんですけど(笑)。本当に腰の低い方で、僕みたいな人間にもしっかり挨拶をしてくれて。そういう方が主演でいてくれるからこそ、現場の空気感もいいんだろうなと思いました。

ーー『日本統一 東京編』は、長く続くシリーズものですが、今回も反響は大きいですか?

北代:みなさん、まるで息子みたいな感じで観てくださっているので、「どうしようもなかったところから成長して頑張ったね!」みたいな声をいただきました。

ーー役への思い入れもひとしおですよね。

北代:もちろん、すごく大きいですね。坂口丈治という役がどんどん成長していくので、僕自身も人間的に成長していかないと……と思いながら。役者の勉強って、人間の勉強でもあると思うんです。魅力的な人間になればなるほど、魅力的な役者になれるのかなって。

『日本統一 東京編』©︎テレビ東京

ーー撮影が始まるとすぐに坂口に戻れる感じなのでしょうか?

北代:『日本統一』の共演者は、普段からお世話になっている方が多いので、青春時代の仲間に会ったみたいな感覚なんですよね。なので、少し期間が空いたとしても、すぐに丈治に戻れます。なんだか、実生活の延長みたいな部分がありますね。作中だけでなく、プライベートでも、みんなが(本宮)泰風さんと山口(祥行)さんをリスペクトしているので。

ーーここまでシリーズが続くと思っていましたか?

北代:いや、まったく思っていなかったです。とくに、自分は熱心に任侠ものを観てきたわけではなかったので。

ーーもともと興味があったわけではなかったんですね。

北代:はい。任侠作品に出られている方って、「もともとすごい好きだった!」みたいな方が多いんですけど、僕は通ったことがなかったんです。なので、「すごい世界だな」と最初は圧倒されていました。

ーーそこからどのような縁で出演することになったんですか?

北代:僕が主演を務めたヤクザ映画を観て、小沢仁志さんと小沢和義さんが「面白い奴がいるぞ」って気に入ってくださったんです。

ーー“小沢兄弟”に!

北代:そうなんです。で、泰風さんと山口さんに「こいつ、育てたほうがいいぞ」って言ってくれたみたいで。小沢さんたちがそういうことを言うのが、すごく久しぶりだったらしいんです。なので、任侠映画界隈のスタッフさんが「面白い奴が現れたらしい!」って盛り上がってくれて。そこからいろいろと声をかけてもらえるようになったんです。なので、小沢兄弟が任侠映画の世界に足を踏み入れたきっかけ……というか、もう芸能界の親父みたいな存在ですね。

ーー現在の活躍を小沢兄弟はどう見られているのでしょうか。

北代:どうなんですかね。「なんで、面白いと思ってくれたんですか?」とか聞いたこともあるんですけど、飲みの場だと酔っ払っていて、8割くらい何を言っているのか分からないんですよ(笑)。でも、いつか自分がもっと大きな存在になって、任侠映画界にも、小沢兄弟にも恩返しできたらいいなと思います。やっぱり、息子というのは親父を超えなければならないものなので。「絶対に小沢兄弟を超えてやるぞ!」くらいの意気込みでやっています。

ーー任侠作品ならではのルールみたいなものは現場で学ばれたんですか?

北代:そうですね。出演させていただくことが決まったときに、いろいろ学びはしたんですけど、先輩方に「ワークショップとかより現場で学べることのほうが多いんだぞ」と言われていましたし。僕自身も、現場で学ぶことが一番大きいと思っているので。学校で学んだことも残ってはいるんですけどね。

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