『明日はもっと、いい日になる』が描いた児相の過酷さ みんなの笑顔が溢れるラストに

 今、この瞬間もどこかで心と体の痛みに耐えている子どもたちがいる。

 『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)最終話で描かれたのは、浜瀬市児童相談所に訪れた最大の試練。されど、いつもと変わらず、小さなSOSに耳を傾け、子どもたちの明日が今日よりもっといい日になるように奔走する翼(福原遥)たち職員の姿だ。

 巨大団地で虐待の可能性がある子どもを目撃したとの通告が入る。児相のメンバーは手分けして団地中を回り、通告があった家庭を特定。立ち入り調査の許可を得て、顔にアザがある10歳の少年・蒼空(松野晃士)を無事に保護した。

 ところが、暴れる父親の寛治(平原テツ)を蔵田(林遣都)たちが取り押さえている様子を、母親の蘭(入山法子)が撮影し、自分たちに都合良く編集した動画をネット上にアップ。浜瀬市児童相談所は、子どもを無理やり連れ去ったとして世間から非難を浴びてしまうのだ。

 この最終話であらためて実感するのは、児相の現場がいかに過酷かということ。慢性的な人員不足の中、児相の職員たちは少ない人数で年間20万件を超える膨大な相談への対応に当たっている。虐待通告を受ければ、現場に直行するが、訪問に応じてもらえないばかりか、保護者から罵声を浴びせられることも。最悪の場合は暴力を振るわれて、向日葵(生田絵梨花)のように怪我を負うこともある。一方で、虐待で子どもの命が奪われるたびに、児相の対応の遅れが原因として世間から批判されるという常に板挟みの状態だ。

 それでも児相の職員が歩みを止めないのは、子どもたちの命を守るために他ならない。一時保護された蒼空は内臓からの出血で入院していたが、寛治によって連れ去られてしまう。蒼空の身に危険が迫っていると判断した翼たちは強制的に自宅に立ち入るが、すでにもぬけの殻。翼は部屋から手がかりを探そうとし、止める蔵田に「じゃあ、蒼空くんは誰が助けるんですか?」と訴える。

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