『エイリアン:アース』音を立てて広がっていく“亀裂” 地球外生命体たちがついに動き出す
「それが人間のすることなら、私は人間でいたくない」
主に人間とエイリアンの戦いがフォーカスされてきた『エイリアン』シリーズだが、これまでにも登場してきた「企業」や「シンセティック」という要素を全面的に取り扱う『エイリアン:アース』だからこその「人間とは?」というテーマ性が、このウェンディのメッセージに込められている。そしてそれは、プロティジー社やカヴァリエに対する忠誠心の揺らぎとして、今後の物語に大きく関わってくるだろう。
そんな状況の中、兄のハーミット(アレックス・ロウザー)は妹のウェンディ(シドニー・チャンドラー)を連れ帰ることを諦めきれず、友人に止められながらも脱走の準備を進め出す。そして倫理観の違いによって解雇されたアーサーの手助けを得て、ハイブリッドに取り付けられたトラッカーをオフにしてもらうのだった。しかし、アーサーはその際に“ロスト・ボーイズ”の最年長メンバーであるハイブリッド、トゥートルズ(キット・ヤング)のトラッカーが消せず、エラーになっていることに気づき、ラボに足を運んでしまう……。
死人が出始め、カオスが動き出す!
外部(ユタニ社)との対立、内部分裂と、人間パートにドラマが多かった今回だが、ついに地球外生命体たちも動き出す! トゥートルズは頭も良く、カーシュにラボのことを任されている自信もあって、たった一人で餌やりを始めてしまう。そして謎に包まれていた大きな巣が隅っこに出来ているコンテナに入ると、餌やりの動向を観察していた“目玉モンスター”こと羊に寄生虫のT.オセルスが頭突きをして、彼を驚かせる。しかし、その際に扉が閉まってしまいロックがかかってしまった。そうこうしているうちに巣から出てきたのが、第6話のタイトルにもなっている“The Fly”(ハエ)と呼ばれる虫型エイリアンだ。酸性の液体を撒き散らす、極めて危ない生命体で、トゥートルズはあっけなく溶かされて死んでしまう。溶けていく彼を貪る地球外生命体を一瞥しながら、自分に与えられた餌にありつくT.オセルス。その行動の真意が不明になってくる。
その後、溶け切ったトゥートルズのボディをラボで見つけるアーサー。一方、モローからすぐに生贄となる人間を用意しろと脅されるも、ハーミットを卵の近くに連れていくことに失敗したスライトリー(アダーシュ・ゴーラヴ)は、偶然にもラボ内に立ち入るアーサーの姿を捉えてしまう。唯一の人格者だったが、残念ながらアーサーはそのままフェイスハガーの餌食に。このシーンは意図せず先のウェンディの対立に寄り添う形で、ハイブリッドによる親殺しを描いているのだが、その動機が“本当の親”を守るため、というのがなんとも皮肉的だ。
規制されたアーサーの体を安全な場所に保管させなければいけないスライトリーを、先ほどトゥートルズを殺した巨大バエが襲いかかるも、彼は間一髪で換気口に逃れる。ラボに残された、空っぽの開け切った卵とトゥートルズの遺体。それを見つめるT.オセルスが何だか鋭い眼差しをこちらに向けて、第6話は幕を閉じる。冒頭では少し成長したゼノモーフ(そしてそれと会話するウェンディ)を後ろから睨みつけるように凝視していたT.オセルス。マジノ号でのことを考えると、ゼノモーフに対して因縁のようなものがあるのかもしれないが、果たして本当の目的や思惑とは一体……。
■配信情報
『エイリアン:アース』
ディズニープラス スターにて独占配信中
出演:シドニー・チャンドラー、アレックス・ロウザー、ティモシー・オリファント、エッシー・デイヴィス、サミュエル・ブレンキン、バボー・シーセイ、デヴィッド・リズダール、エイドリアン・エドモンドソン、アダーシュ・ゴーラヴ、ジョナサン・アジャイ、イラーナ・ジェームズ、リリー・ニューマーク、ディエム・カミラ、モー・バーエル
クリエイター:ノア・ホーリー
製作総指揮:リドリー・スコット、デイビッド・ツッカー、ジョセフ・イベルティ、ダナ・ゴンザレス、クレイトン・クルーガー
©2025 FX Productions, LLC. Courtesy of FX Networks and Hulu