『明日はもっと、いい日になる』が描く親子の在り方 “蔵田”林遣都が自身の過去と向き合う
血の繋がりだけが、親子の在り方ではない。蔵田(林遣都)が児相を出てから自立するまで、南野(柳葉敏郎)がつけていた成長記録。何十冊も積み上げられたノートの分厚さに、親子を親子たらしめる大事なものが詰まっていた。
『明日は、もっといい日になる』(フジテレビ系)第10話では、虐待サバイバーである蔵田が自身の過去と向き合う。
蔵田の前に突如現れた実父・総一郎(板尾創路)。蔵田に会いたいという内容の手紙を南野に送り続けるも反応がなく、痺れを切らして自ら会いにきたのだ。肝臓の病気を患ったことをきっかけに人生を見つめ直したという総一郎は蔵田に謝罪し、親子の時間を取り戻すために、一緒に暮らしたいと切り出す。
蔵田にとって総一郎は、殺してやりたいと思うほどに憎い相手だ。けれど、確かに血の繋がった親でもあるため、その事実が蔵田を縛る。年老いてすっかり弱った総一郎を、蔵田は簡単に切り捨てることができなかった。もしかしたら、総一郎が自分にしたことを心から反省して、変わってくれたのかもしれないという期待もあったのではないか。
そんな蔵田の考えを覆したのが、子どもたちと2カ月ぶりに面会を果たした夢乃(尾碕真花)だ。一度は道を踏み外し、子どもたちを命の危険に晒した夢乃。けれど、翼(福原遥)や蔵田との出会いをきっかけに自分の行いを省みて、再び子どもたちと暮らせるように生活を立て直してきた。
そこへ、身勝手な理由から家族を捨てた元夫の亮(杢代和人)が舞い戻ってくる。夢乃はそういう亮の自由なところが好きだったのであって、以前だったら受け入れていたかもしれない。けれど、子どもたちを中途半端に期待させて、傷つけたくなかった夢乃は亮にきっぱりと別れを告げた。自分の気持ちより、子どもの気持ちを真っ先に考えられるようになったのは大きな成長だ。それは過去の行いを心から反省していることの証でもある。