『奪い愛、真夏』数々の名シーンはどう生まれた? “シリーズ生みの親”鈴木おさむが明かす
「実は一つ、このパターンもあるなと思ったことがあった」
ーー主演の松本まりかさんは、『奪い愛、夏』(ABEMA/2019年)と『奪い愛、高校教師』(ABEMA×テレビ朝日/2021年)にも出演されていましたが、今回改めて芝居を見ていかがですか?
鈴木:松本さんは今までの『奪い愛』もそうですし、どちらかというとクレイジーになっていく役が多いと思うんです。逆に主役は、キャッチャーであると僕は思ってるんですよ。芝居を受け止める役で、俗に“おいしくない役”と言われるような感じになってしまう場合も多いんですけど、さすが松本まりかという感じで、キャッチャーなのに自分の味をどんどん出しながら、最終回にものすごい壊れ方をしていきます。その存在感がお見事ですね。
ーー第5話で真夏が隼人(安田顕/二役)に家族がいたことを知り膝から崩れ落ちるシーンは、松本まりかさんの悲哀の芝居が見事だと思いました。
鈴木:そうですね。僕は隼人が真夏と再会して逃げ出しちゃうところがすごく好きなんですよ(笑)。あれが本能じゃないですか。逃げちゃうところが面白いし、でもリアルだよなと思います。
ーー時夢と隼人を一人二役で演じている安田顕さんの芝居はいかがですか?
鈴木:安田顕さんはセリフの「…」をあれだけバリエーション多く演じられるのがすごいです。第4話で、時夢が鯛しゃぶを一気に食べだすシーンは本当に爆笑したんですけど、でも自分だったらそうするよなとも思ったんですよ。未来から「食べなさいよ」と言われて、ある意味、自分が食べることによって彼女を助けているんですよね。その引き算の芝居が本当にうまいなと思いました。
ーー花火は、森香澄さんに当て書きしたかのようなキャラクターですよね。
鈴木:森香澄さんは何かの役で出てほしいという思いがありました。ドラマのスパイスとして重要な役にしたいと思ったんです。ああやって人に嫌がらせする人ってリアルにいると僕は思ってるんですけど、彼女が「ドッカーン」と言うことで、それを楽しみながらちょっとずつ物語を動かしていってしまうキャラクターですよね。
ーー花火は第7話から最終回までにかけてもいい役回りです。
鈴木:そうですね。最終回まで含めていい役回りというか、散々人に迷惑かけておいてというところもあるんですけど、自分のお義兄ちゃんであろうが、お姉ちゃんであろうが、恋人相手であろうが、どんな人を相手にしてもいたずらな部分を持っていて、そこを見事に演じてくれたなと思っていますし、愛しいキャラクターですね。
ーー鈴木おさむさんが脚本を手がけた『離婚しない男 -サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(2024年/テレビ朝日系)も同じ激しい愛憎劇で、不倫ドラマでした。令和の現代において、そのような作品を描く面白さは、どういったところにあると思いますか?
鈴木:例えば芸能人が不倫をしたら、テレビに出られないみたいな感じで、最近の世の中は不倫にどんどん厳しくなっていますよね。それでもみんなが不倫ドラマを求めたり、それを楽しむっていうのが人間の面白いところだと思っていて。とはいえ、不倫で苦しんでる人も絶対的にいますし、観ていてつらい人もいると思うので、その人のことは常に念頭に置いてやっています。だから最終回で人を好きになるというのはどういうことなのかを、ちゃんと伝えようと思っています。
ーー『離婚しない男』は鈴木おさむさんが脚本家として引退する前の最後の地上波連ドラでしたが、今回の『奪い愛、真夏』は引退発表以前から制作のチームのみなさんと約束をしていて特別に筆を執ったということですね。
鈴木:そうです。『奪い愛』のスタッフに辞めると伝えたら「『奪い愛』をもしやるときがあったらどうするんですか?」と言われて、またやるなんて全然決まっていなかったので「その時はやりますよ」と返したんですけど、こんなに早いとは思わなかったです。
ーー今後、もし『奪い愛』のチームから脚本をもう一度頼まれたら書くということもあり得ますか?
鈴木:実は一つ、このパターンもあるなと思ったことがあったんですよ。ここでは言わないですけど(笑)。『奪い愛』で今回はタイムリープだったので、「あ、このギミックを不倫でやったら面白いかもな」と思ったことはありました。
ーーまだ書きたいこと、アイデアはあるということですね。
鈴木:オファーされたらやるというか。今回脚本を書いてみて、思った以上に自分が放送作家と脚本家をやめてるんだなと思ったんですよ。なかなかスイッチが入らない中で書き始めて、でもメインの仕事があるからこそ振り切って書けたのかもしれないです。出し惜しみせずに書き切ろうと思ったというか。最初書き始めるまではしんどかったですけど。でも全うしたのかなと思ってます。
さまざまな登場人物たちが愛を奪い合う“激しくも切ないドロキュン恋愛ドラマ”『奪い愛』シリーズの最新作。結婚までも約束した最愛の恋人と不倫の末に別れた主人公の恋模様を描く。
■放送情報
金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~24:15放送
出演:松本まりか、安田顕、高橋メアリージュン、白濱亜嵐、森香澄、石山順征、谷原七音、石井正則、水野美紀
脚本:鈴木おさむ
演出:樹下直美、上田迅、日暮謙
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:川島誠史(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)、小路美智子(MMJ)
音楽:沢田完
主題歌:安田レイ「BROKEN GLASS」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作:テレビ朝日、MMJ
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