『ペット2』バナナマンだけじゃない! 松たか子、有吉弘行ら声優級の腕前を持つ芸能人
また、『ズートピア』(2016年)のジュディ役を務めた上戸彩の演技も見逃せない。小さな体で夢を追いかける新米警官ジュディの奮闘を、明るくエネルギッシュな声で等身大に表現し、観客に強い共感を呼び起こした。さらに、12月5日に公開されるの『ズートピア2』でも続投が決定しており、成長したジュディをどのように演じるのか、その進化に期待が高まっている。
『クルエラ』(2021年)で主人公クルエラの日本版声優を務めた柴咲コウも、実写映画の吹き替えを代表する成功例の一人だ。もともと女優として強い存在感を放ってきた柴咲は、声の芝居でも華やかさとミステリアスなニュアンスを巧みに同居させる演技を見せた。
日本版エンドソング「コール・ミー・クルエラ」も担当し、歌声と芝居の両面から作品を彩った点でも、英語版オリジナルに匹敵する力強さを示してくれたといえるだろう。
アメコミ映画でも、芸能人が印象的な役を担った例は少なくない。『アベンジャーズ』(2012年~2019年)シリーズでホークアイを演じた宮迫博之は、シリアスなアクションの中に軽妙さをにじませ、原作ファンも違和感なく受け入れられる吹き替えを披露。芸人キャスティングの新しい成功例として今も記憶に残る。
さらに、コメディ映画『テッド』(2012年)ではテディベアのテッド役を有吉弘行が担当。持ち前の声質やテンポ感が自然に活き、原作の皮肉や毒舌に日本版ならではのユーモアを加える結果となった。ぬいぐるみの愛らしい見た目とのギャップが一層際立ち、吹き替え版の人気を押し上げる大きな要因となった。
近年は、声優から実写俳優へ、あるいはその逆へと活動の幅を広げる人もいれば、本業とは異なる分野で意外な才能を発揮する芸能人も少なくない。とりわけ吹き替えの世界では、その人が持つ独特の声質や個性が、アニメーションや映画に新たな息吹を吹き込むことがある。
バナナマンのように芸人ならではの掛け合いがキャラクターの自然な関係性を生み出したり、松たか子のように歌手としての実力が国際的な評価につながったりと、本業で培った技術が声の芝居に活かされる例は数多い。芸能人の吹き替えには賛否両論がつきものだが、異なるバックグラウンドを持つ表現者が関わることで作品に新たな魅力が宿るのもまた事実だ。
ジャンルやキャリアを超えて広がっていく吹き替えの世界からは、これからも思いがけない名演が生まれていくに違いない。
■放送情報
『ペット2』
日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、9月5日(金)21:00〜22:54放送
※本編ノーカット放送
声の出演:設楽統(バナナマン)、日村勇紀(バナナマン)、佐藤栞里、永作博美、伊藤沙莉、内藤剛志、宮野真守、梶裕貴、沢城みゆき、中尾隆聖
監督:クリス・ルノー
共同監督:ジョナサン・デル・ヴァル
脚本:ブライアン・リンチ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
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