嵐ד医療もの”は間違いない! 松本潤が『19番目のカルテ』で拓く新たな可能性
現在放送中の日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)。医療ドラマというと、さまざまな「科」にスポットが当たってきた。が、本作でクローズアップされるのは19番目の専門領域、総合診療科。総合診療とは、患者が抱えている健康問題に対して、専門分野にとらわれずあらゆる角度からアプローチしていく。専門の科では当然だが、一部分しか見てもらえない。「〇〇科では問題はないと言われたけれど、調子が戻らない。このあと、どうしたらいいのか分からない」というジレンマを抱えている人たち。そんな人たちを松本潤演じる総合診療医の徳重が寄り添い、話を聞き、解決の糸口を見つけていく。松本潤が初めての医師役に挑むということで放送開始前から話題を呼んだ作品だ。
松本というと、どうしても『花より男子』(TBS系)の道明寺司が思い浮かぶ。20年前の作品を引っ張り出して言うのも恐縮だが、あの時の「俺様」な姿は連想しやすいだろう。2000年代には『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)や『ごくせん』(日本テレビ系)などに主演、出演を果たし、多くの視聴者に印象づけているのだが、未だに「俺様」のイメージが強いのは、道明寺のインパクトがどれだけのものだったか、ということを物語っている。
だが、近年の松本が演じる役どころは変化しつつある。考えてみてほしい、年を重ねても「俺様」であれば、周りの人に与える威圧感も若いころとは変わってくる。カッコいいでは済まされない時代だ。
2022年に主演を務めた『となりのチカラ』(テレビ朝日系)。何をしても半人前、でも困っている人を見ると放っておけずにおせっかいを焼く中越チカラを熱演。最初は周りの人たちに鬱陶しがられつつも、熱心に話を聞き、ご近所の問題を解決していった。
松本潤、年齢とともに変化を遂げた俳優人生 『となりのチカラ』連ドラ初のパパ役で新境地
1月20日からスタートした松本潤が主演を務めるドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)が3月31日にいよいよ最終回を迎える。 …近年ではもう一作。こちらも主演を務めた大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)。誰もが知っている徳川家康役を演じたのだが、これが今までの家康像を大きく変えるものだった。気が弱くて、優しくて、優柔不断。周りをやきもきさせ、その性格が人を救うこともあれば窮地に追い込むこともあった。終盤につれて、よく知られている徳川家康像が表面的には描かれていたが、根底にあるのは「優しい徳川家康」だった。
松本潤の徳川家康は大河ドラマ史に刻まれた 『どうする家康』すべての思いが繋がる最終回
NHK大河ドラマ『どうする家康』最終回「神の君へ」。豊臣との決戦に踏み切った徳川家康(松本潤)は自ら前線へ立つ。乱世の生き残りを…そして、今回の『19番目のカルテ』での徳重。これまでの役は徳重を演じるためには必要なものだったのではないかと思うほどだ。
多くの人が経験したことがあるかと思うが、病院での診察というのは大きな病院であればあるほど、待ち時間が長く、診察時間は短い。どこか医師たちも時間に追われていて、診察してもらう側も強い気持ちを持っていなければ、言いたいことが全て言えない……という状況になることも多い。つい、尻ごみしてしまう。徳重がいる魚虎総合病院もそうだ。だからこそ、徳重のように少し身を前に乗り出し、穏やかに、ゆっくりと話をしてくれる医師の安心感はとてつもないものだ。話を聞いてくれる。それがわかるだけでも、患者側としては心の余裕が生まれる。
その最たるものが第1話で全身の痛みを訴える女性患者・黒岩(仲里依紗)の診察シーンだろう。どこで診察してもらっても異常がない、でも体中は痛い、それが分かってもらえない。苛立ちと苦しみを隠せない黒岩を徳重はしっかりと受け止めてみせた。大きな安心感を与える演技はこれまでの松本のベースがありながらも、一線を画す。優しさ、柔らかさに加えて、包容力が伴われたのではないだろうか。ここに来て、また違う演技のステージに上がった印象を受ける。
実は、嵐のメンバーで医師役を演じるのは松本が初めてではない。二宮和也は同じ日曜劇場枠で放送された『ブラックペアン』(TBS系)で主演を務めた。こちらは2024年にシーズン2も制作された人気ドラマとして記憶に残っている人も多いだろう。
二宮和也の演技力の凄さが詰まった『ブラックペアン2』 渡海と天城を別人にする“声と仕草”
現在放送中の『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)に、前作『ブラックペアン』(2018年/TBS系)の主人公・渡海征司郎(二…そして櫻井翔は映画『神様のカルテ』で主演を果たしている。2011年に第1作、2014年には第2作が公開となり、こちらもヒット作品となった。
それぞれキャラクターの方向性は異なるが、二宮、櫻井、そして松本と医療作品で新境地を切り開き、ヒット作品へと成長させてきた。少し気が早いかもしれないが、『19番目のカルテ』が松本にとっての代表作のひとつとなることを期待せずにはいられない。
富士屋カツヒトによる連載漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』を原作に、坪田文が脚本を手掛けるヒューマン医療エンターテインメント。松本潤がキャリア30年目にして初となる医師役に挑む。
■放送情報
日曜劇場『19番目のカルテ』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:松本潤、小芝風花、新田真剣佑、清水尋也、岡崎体育、池谷のぶえ、本多力、松井遥南、ファーストサマーウイカ、津田寛治、池田成志、生瀬勝久、木村佳乃、田中泯
原作:富士屋カツヒト『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(ゼノンコミックス/コアミックス)
脚本:坪田文
プロデューサー:岩崎愛奈
企画:益田千愛
協力プロデューサー:相羽めぐみ
演出:青山貴洋、棚澤孝義、泉正英
編成:吉藤芽衣、髙田脩
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