松岡禎丞が培ってきた演技のこだわり 「“結果的に出た声”であって、感覚的なもの」
“感覚派”としての役作り
ーーリトルジョニーもそうであるように、松岡さんの演技はブレス（息づかい）や怒鳴り声といったセリフ以外の表現も非常に巧みだと思います。こうした特殊な声をどのように演技に落とし込んでいるのでしょうか？
松岡：ああいうブレスや息の芝居では、たいてい台本に三点リーダー（…）で書かれていて、そこにト書きでキャラクターの心情が説明されているんです。でも、それを技術的な観点だけで落とし込んでしまうと、どうしても“嘘”になってしまう。言葉にならない声や感情は掛け合いを受けてでしか出せないものだと思っています。なので僕は、どの現場でも演技全体の土台を固めるのは最低限にとどめて、あとは共演者との掛け合いの中でニュアンスを変化させていきます。頭の中で「こういう感じで演技しよう」という部分はあるんですが、あとはほかの方と掛け合ってみないとわからないところがあります。基本的に僕は感覚派の人間で、頭でいろいろ考えるのは苦手なんですよ（笑）。もちろん、ロジカルに固めていく理論派タイプの方もいらっしゃいますけど、僕は8割くらい感覚で演じてます。叫び声にしてもそれは“結果的に出た声”であって、感覚的なものです。 今だからこそ言えることですけど、かつて全力でやっていた演技が、無意識のうちに「これ以上声出したら喉を壊すぞ」とブレーキをかけていたんだなと気づいたことがあったんですね。でも経験を重ねていくなかでそういう本能的なセーブも意図的にコントロールできるようになってきて。逆にあえてリミッターを外すこともできるようになってしまったんですが、年齢の問題で身体の回復は遅くなってきていて次の日までそのダメージが喉に残ったり……。それでも「ここで出さなきゃ、今後このシーンは永遠に残るんだぞ」という気持ちが先行して、つい全力で演技してしまう。全力を出せる現場をたくさんいただけることはありがたいことでもあるんですが、結果的に「あと30分もたないぞ」っていうくらいになっていることもあります（笑）。
ーー本作では誰かとの掛け合いで「これはうまく打ち返せたな」と感じたシーンはありますか？
松岡：それが難しいところなんですよね……。今回は中国語の原音（オリジナルの音声）がある作品だったので、それを意識しながら自分の解釈を肉付けしていく必要があったんです。収録中も原音が聞こえているので隣の共演者のセリフが聞こえにくくなる場面もあります。かといってセリフのタイミングを計ろうとすると原音を聞かないというのも難しい。吹き替えならではの難しさとともにやりがいを感じる部分でした。原音とのバランスや監督さんの意向、あとは音響監督さんの判断もあるので、なかなか自分の意思だけでは決められないところもあって。その意味で『TO BE HERO X』は結構難しい作品でした。
ーー日中共同製作ならではの環境があったわけですね。
松岡：でも、やらせていただくぶんには、結果を出さないといけない。それが役者の本分だと思っています。
ーー本編を拝見した限りではそういった影響を微塵も感じさせない素晴らしい演技だったと思います。本日はありがとうございました。
松岡：そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございました！
■放送情報
TVアニメ『TO BE HERO X』
フジテレビほかにて、毎週日曜9:30〜放送
Netflix、Prime Videoにて、毎週月曜12:00〜最速配信
各配信プラットフォームにて、毎週水曜12:00〜配信
キャスト：宮野真守（X役）、花澤香菜（クイーン役）、内山昂輝（梁龍役）、中村悠一（黙殺役）、松岡禎丞（リトルジョニー役）、佐倉綾音（ロリ役）、水瀬いのり（ラッキーシアン役）、山寺宏一（トラ役）、島﨑信長（魂電役）、花江夏樹（ナイス役）ほか
原作・監督：Haolin（リ・ハオリン）
オープニングテーマ：「INERTIA」SawanoHiroyuki[nZk]:Rei
エンディングテーマ：「KONTINUUM」SennaRin
メインテーマ：「JEOPARDY」澤野弘之
音楽：澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO、ケンモチヒデフミ、DAIKI（AWSM.）、睦月周平、深澤秀行、馬瀬みさき、髙田龍一（MONACA）
制作：BeDream
製作：bilibili & BeDream, Aniplex
©bilibili/BeDream, Aniplex
公式サイト：https://tbhx.net
公式X（旧Twitter）：@tbhx_officialJP
公式TikTok：@tbhx_officialjp
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＜応募締切＞
8月16日（土）