ガメラ生誕60周年を記念して、昭和ガメラ3作品の4Kデジタル修復版が制作され、12月5日より『昭和ガメラ映画祭』として角川シネマ有楽町ほかにて順次公開されることが決定した。

　ガメラは、1965年に公開された大映により制作された怪獣映画『大怪獣ガメラ』で初登場。 突如北極の氷から出現し、日本各地を襲いながらも、やがて子どもたちの味方として他の怪獣から人々を救うという独自のヒーロー性を持ち、多くの子どもたちの心を掴んだ。巨大な亀の姿にして、空を飛び、火を吐くというユニークな設定とその圧倒的な強さはほかの怪獣とは一線を画し、破壊だけでなく“希望”や“祈り”を内包した姿は“正義”と“守るべきもの”を問いかけている。

　昭和には怪獣映画ブームの中でシリーズ全8作を展開。“ガメラの父”湯浅憲明監督はじめ、当時の大映チームの創意工夫溢れる作品たちは特撮ファンの熱狂を生んだ。平成には『ガメラ 大怪獣空中決戦』に始まる3部作を公開。金子修介監督×伊藤和典脚本×樋口真嗣特技監督というスタッフにより、ハードな世界観と緻密なVFXで国内外の映画ファンをまたも魅了した。その後、昭和ガメラにリスペクトを込めた『小さき勇者たち〜ガメラ〜』も公開された。そして2023年にはNetflixシリーズ『GAMERA -Rebirth-』が配信。令和の時代にもガメラ受け継がれている。

　「ガメラ生誕60周年」を記念し4Kデジタル修復版が制作されるのは、シリーズの記念すべ き第1作目『大怪獣ガメラ』、シリーズ2作目でバルゴンの虹色光線など色彩豊かな特撮表現が光る初カラー作品『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』、そして人気怪獣ギャオスが初登場した3作目『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』の3作品。4Kデジタル修復の監修は、『ガメラ 大怪獣空中決戦』、『ガメラ2 レギオン襲来』、『ガメラ3 邪神＜イリス＞覚醒』の特技監督も務めた樋口監督と、映画のフィルムの色味を監督やカメラマンの意向を汲みながら整える重要な職人的ポジションである「タイミング」として約30年間活躍後、多くの名作の4Kデジタル修復監修を手がける小椋俊一が担当する。小椋は樋口監督が手がけたガメラ作品にも「タイミング」として参加している。

　『昭和ガメラ映画祭』では、4Kデジタル修復版3作品のほか、昭和ガメラ全8作品と昭和ガメラへのリスペクトが詰まった『小さき勇者たち〜ガメラ〜』が特別上映される。

　さらに、4Kデジタル修復版3作品のUHD（Ultra HD Blu-ray）が11月21日に発売されることが決定。内容はUHDと4KSDR本編、特典映像を収録したBlu-rayの2枚組でパッケージデザインには描き下ろしのガメラ、バルゴン、ギャオスが登場している。

　また、11月にはBS12の全国無料放送でガメラ6作品のテレビ初放送が決定。『船越英一郎の昭和再生ファクトリー」』では、昭和ガメラ4Kデジタル修復版の制作に密着した特別番組の放送も決定している。特別番組では『大怪獣ガメラ』で主演を務めた船越英二を父に持つ船越英一郎が、樋口監督や小椋ら精鋭たちが挑む「昭和ガメラの再生」に迫り、貴重なインタビューや、通常は立ち入ることができないレア施設での撮影の様子なども放送される。

　そのほか、ガメラの関連書籍やグッズも発売される予定だ。

　あわせて、『ガメラ』シリーズの名場面が映し出される「ガメラ生誕60周年プロジェクト」の特報映像と樋口監督からのメッセージ動画も公開された。

コメント

樋口真嗣監督（4Kデジタル修復監修）

私が生まれた年に作られた映画ですから、かれこれ60年前の映画です。
本来なら制作に携わった方が監修すべきなのですが、見渡した限りどなたもいらっしゃいませんでした。残念なことです。
そしてこの度、私たちの世代にとってはレジェンド級のタイミングマンである、小椋俊一さんとデジタルグレーディングの第一線を切り拓いているイマジカのカラリスト、阿部悦明さんのお力添えで不肖樋口、いちファンの代表として、この大任を慎んでお引き受けさせていただきました。
暗部に埋もれ、グレインに隠されていた怪獣たちの皮膚感を洗い出し、当時の低感度ネガフィルムに記録されていた現場の空気感を発掘するのは、試行錯誤を重ねて素晴らしい作品を作り出した先輩たちの偉業を追体験するようで、素晴らしく幸せな作業でした。
とりわけ、タイミングデータから明らかになる、オプチカルプリンターを介さずにオリジナルネガを巻き戻して二重露光をしたダブルロール合成カットの多さは衝撃です。ブルーバック合成という選択肢を当たり前のように選ぶことが難しい時代に怪獣映画を撮っていた先輩たちの労苦には感服するばかりです。
誰も観たことのないガメラの誕生を、刮目してご覧下さい。

小椋俊一（4Kデジタル修復監修）

この企画のお話を頂いたとき、まさか自分の子供のころ劇場で観た「昭和ガメラ」の4K修復に関われるとは思ってもみなかったので、嬉しく思いました。「平成ガメラ3部作」には、タイミングとして関わりました。劇場で皆さんがご覧になったのは、プリントフィルム（ポジ）です。今回の4K修復はネガからの修復です。ポジを通さない分、当然劇場での見え方と変わります。ネガはポジでは表現できなかった明部、暗部のディテール等、豊富な情報を持っています。その情報を損なわないように、なおかつ当時観たような質感を求めて修復しました。ご期待ください。

■公開情報
ガメラ生誕60周年記念『昭和ガメラ映画祭』
12月5日（金）角川シネマ有楽町ほか全国順次公開

『大怪獣ガメラ』4Kデジタル修復版（1965年）
出演：船越英二、山下洵一郎、姿美千子、霧立はるみ、北原義郎、左卜全、浜村純、内田喜郎
監督：湯浅憲明
企画：斉藤米二郎
脚本：髙橋二三
撮影：宗川信夫
録音：渡辺利一
照明：伊藤幸夫
美術：井上章
音楽：山内正
特殊撮影：築地米三郎
特撮美術：井上章
合成：藤井和文
照明：石坂守
1965年／白黒／79分 
©KADOKAWA 1965

『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』4Kデジタル修復版（1966年)
出演：本郷功次郎、江波杏子、早川雄三、藤岡琢也、藤山浩二、夏木章、北原義郎、菅井一郎、見明凡太朗
監督：田中重雄
企画：斉藤米二郎
脚本：髙橋二三
撮影：髙橋通夫
録音：奥村幸雄
照明：柴田恒吉
美術：柴田篤二
音楽：木下忠司
特殊撮影監督：湯浅憲明
特殊撮影：藤井和文
特殊美術：山口煕、井上章
特殊合成：金子友三
特殊照明：石坂守
特殊操演：恵利川秀雄
1966年／カラー／101分
©KADOKAWA 1966

『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』4Kデジタル修復版（1967年）
出演：本郷功次郎、笠原玲子、丸井太郎、北原義郎、夏木章、上田吉二郎、村上不二夫、螢雪太郎、阿部尚之
監督：湯浅憲明
企画：仲野和正
脚本：髙橋二三
撮影：上原明
録音：奥村幸雄
照明：久保江平八
美術：井上章
音楽：山内正
特殊撮影：藤井和文
特殊美術：矢野友久
特殊合成：金子友三
特殊操演：金子芳夫
特殊照明:熊木直生

『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』（1968年）
『ガメラ対大悪獣ギロン』（1969年）
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』（1970年）
『ガメラ対深海怪獣ジグラ』（1971年)
『宇宙怪獣ガメラ』（1980年）
『小さき勇者たち〜ガメラ〜』（2006年）

配給： KADOKAWA
公式サイト：https://cinemakadokawa.jp/gamera/
公式X（旧Twitter）：@gamera_info

■放送情報
『大怪獣ガメラ』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、11月2日（日）19:00〜放送

『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、11月9日（日）19:00〜放送

『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、11月16日（日）19:00〜放送

『ガメラ 大怪獣空中決戦』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、11月23日（日）19:00〜放送

『ガメラ 2 レギオン襲来』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、11月30日（日）19:00〜放送

『ガメラ 3 邪神＜イリス＞覚醒』【4Kデジタル修復版】
BS12にて、12月7日（日）19:00〜放送

※全て2Kダウンコンバートで放送

『船越英一郎の昭和再生ファクトリー』「『大怪獣ガメラ』4K修復にて、父・船越英二が蘇る！」
BS12にて、11月6日（木）21:00〜放送（予定）