『あんぱん』“東京編”から登場した木原勝利は何者? 『新幹線大爆破』でも発揮された安定感
放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』では、ヒロイン・のぶ(今田美桜)が高知新報での記者活動を経て、東京へ。戦後復興期の闇市を主な舞台とした「東京編」がスタートした。ヒロインの生活する環境が変われば当然ながら周囲の人々の顔ぶれも変わるもので、必然的に登場人物たちの出番にも変化が生じてくる。これからの「東京編」での主要なキャラクターは何人かいるが、個人的にとくに気になるのが世良則雄だ。演じているのは木原勝利である。
本作は、あの『アンパンマン』の生みの親となった夫婦をモデルに、のぶと、やがて彼女の夫となる幼なじみの嵩(北村匠海)の激動の生涯を描いていくものだ。世代を超えて日本中で愛され続ける作品とキャラクターがどのようにして誕生したのか。私たちはこの『あんぱん』を通して知りつつあるところである。のぶと嵩が高知新報で再会したことで大きくドラマが動き出したかに思えたが、またもふたりは離れ離れに。しかも高知のほうでは大きな地震が起きた。これからどのような展開になっていくのだろうか。
このような激動の展開の続く本作で木原が演じる世良とは、のぶが東京へと進出するきっかけをつくった代議士・薪鉄子(戸田恵子)の事務補助員だ。鉄子はのぶ以上のスピード感で進んでいくハチキン(土佐ことばで、快活な女性)で、「弱い立場の者に手を差し伸べる」という強い信念を持った人物。世良はそんな彼女を献身的に支え、その素早く的確な仕事ぶりは、ある種の曲者だともいえる鉄子から絶大な信頼を寄せられている。
『あんぱん』“ガード下の女王”薪鉄子役の戸田恵子がついに登場 アンパンマンと重なる姿も
戸田恵子が、NHK連続テレビ小説『あんぱん』第15週「いざ!東京」第75話より本格登場している。言わずもがな、戸田は『それいけ!…世良がどのような人物なのかは、彼や鉄子が口にするセリフから分かる。鉄子の「(世良は)食べるのが日本一早い」という言葉は、そのシーンから察するに、彼が“仕事ファースト”で生きる人間で、事務補助員のプロフェッショナルであることを端的に示していただろう。言葉を尽くして説明的に語ることなく、人物像を視聴者に提示する。このあたりは脚本の妙だといえる。