興収で読む北米映画トレンド

『スーパーマン』北米V2、マーベル社長が絶賛 アリ・アスター最新作も初登場

「『スーパーマン』を観てください。“スーパーヒーロー疲れ”がないことは明らかです」

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の公開を控えて、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、かつて『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを手がけたジェームズ・ガン監督の最新作を称えた。

 スーパーヒーロー映画/コミック映画に観客が飽きているのではないかとささやかれて数年が経過した今、DC映画のリブート版『スーパーマン』が大ヒットを記録したことは、“ライバル”とされるマーベルにとっても勇気づけられる出来事だったようだ。ファイギ社長は、DCスタジオ代表でもあるガンに激励と賞賛のメールを送ったという。

 7月18日~20日の北米映画週末ランキングは、『スーパーマン』が2週連続No.1を獲得。週末3日間の興行収入は5725万ドルで、前週比マイナス54.2%という予想以上の好調となった。興行収入の規模は異なるが、下落率は『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)とまったく同じ。新DCユニバースとしては最高の1作目となった。

『スーパーマン』© & TM DC © 2025 WBEI IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.

 北米興収は2億3503万ドル、海外興収は1億7180万ドルで、世界興収は4億683万ドル。公開2週目にしてMCUの前作『サンダーボルツ*』(2025年)の累計興収を超え、まもなく『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025年)の4億1510万ドルも抜き去る構えだ。

 7月25日には『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が公開され、IMAXを含むプレミアムラージフォーマット上映はほとんど奪われるため、『スーパーマン』はここから真価を問われるが、口コミで善戦を続ける可能性は十分にある。少なくとも、この勢いならば製作費2億2500万ドルのコスト回収は問題なく達成されそうだ。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』© 2025 20th Century Studios / © and ™ 2025 MARVEL.

 ワーナーは『スーパーマン』のほか『マインクラフト/ザ・ムービー』や『罪人たち』、『F1/エフワン』のヒットにより、年間の北米累計興収が13億2000万ドルを記録。現時点でディズニーを抜き、ハリウッドの大手スタジオでトップに立った。『ファンタスティック4』の公開で抜き返されることにはなるだろうが、昨年から今年前半の苦境を思えば目を見張る復活ぶりである。

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