『明日はもっと、いい日になる』翼が聞く子どもの声 福原遥×林遣都は良きバディになれるか

 野乃花は週6で塾に通っており、無賃乗車は教育虐待によるストレス反応と思っていた蔵田たち。しかし、野乃花を苦しめていたのは勉強そのものではなく、自分の教育方針を巡って言い争う両親の声だった。児童虐待は殴る、蹴るなどの身体的暴力だけではない。先ほど挙げた虐待による子どもの死亡事例にはネグレクト、そして心理的虐待も含まれる。その一つに挙げられるのが、子どもの目の前で配偶者や家族に暴力を振るう、または暴言を吐く面前DVだ。

 野乃花が苦しんでいる原因が自分たちにあると分かってもなお、“たかが夫婦喧嘩くらいで”と状況を軽んじる両親に「虐待で最も治りが遅いのは、体についた痣や傷ではありません。どこにあるかわからない、心についた傷です」と訴えかける蔵田。幼少期に負った心の傷はなかなか癒えず、成長段階でメンタルヘルスの問題として顕在化することが多い。なかには自傷行為によって心の傷が体の傷に変わり、最悪の場合、命を落としてしまうこともある。

 野乃花はヘッドホンで耳を塞ぎ、代わりにスマホで両親の結婚式の動画を視聴していた。「ママとパパが仲良かったから私がいるんだって思うと嬉しくて」という理由に胸が締め付けられる。自分を産んだ両親が憎しみ合っているという状況は、子どもからすれば自分自身を否定されているようなものだろう。喧嘩しないでほしい、仲良くしてほしい。自分のために頑張ってくれている両親に遠慮し、心の奥底にしまった声をピアノの演奏に乗せて届けた野乃花。その声を引き出したのは、どこまでもまっすぐに子どもたちの声を聞こうとする翼の姿勢だ。

 小児科のお医者さんは「ぽんぽんがズキズキするのかな?」といったように、子どもの言葉を引き出すことで傷のありかを探し当てようとする。心の傷も同じだ。痛みの原因を特定し、取り除くにはまず、「どこが、どのように痛むのか」という子どもの声を聞く必要がある。そう思うと、児相の仕事は問診に近いのかもしれない。翼の問診は少し手荒なところもあるけれど、それが時に子どもの心を動かすことも。そのことに気づき始めた蔵田だったが、つい喧嘩になって野乃花の両親にした「大切なのは口論をしないことではなく口論の仕方」というアドバイスが跳ね返ってくる。今はまだ2人とも互いへの接し方を探っている最中なのだろう。お世辞にも上手とは言えないが、心のこもった絵から伝わる子どもへの不器用な愛情を持っている2人。口論の仕方さえ心得れば、もしかしたら良きバディになれるかもしれない。

明日はもっと、いい日になる

児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。

■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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