『シンデレラ クロゼット』Pが明かす実写化の裏側 尾碕真花&松本怜生への感謝も

 ドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』(TBS系)より、大高さえ子プロデューサーのインタビューコメントが公開された。

 本作は、柳井わかなの同名コミックを実写ドラマ化する青春ラブストーリー。物語は、オシャレなキャンパスライフに憧れて地方から上京してきた女子大生・春香(尾碕真花)と、自分なりの美を追求する専門学生で女装男子・光(松本怜生)の出会いから始まる。まっすぐで素直な春香と厳しい言葉をかけながらも、「変わりたい」と心から願う春香を支える光が、メイクやファッションをきっかけに、憧れの先輩や出会う人たちにも影響を受けながら成長していく。

  主人公・福永春香を尾碕真花、 自分なりの美を追求する専門学生の女装男子・神山光を松本怜生が演じるほか、カルマ、水戸由菜、八村倫太郎(WATWING)が出演する。

 大高プロデューサーは、本作のドラマ化のきっかけは脚本家志望の折戸咲月からの紹介だったことを明かし、「さっそく原作を読んでみたところ、撮影中で忙しかったにもかかわらず一気に全巻読むほどハマってしまって。とても求心力のあるストーリーで魅力を感じました。折戸さんも多忙でしたが、企画が通りやすいように企画書のブラッシュアップをお願いして、無事採用に至りました。メインライターはベテランの加藤綾子さんにお願いしていますが、折戸さんには第5話と第8話を担当してもらいました。まだ駆け出しの彼女にとって脚本執筆の貴重なチャンスになりましたし、私にとってもすごく思い出深い作品になりました」と実写化の経緯を振り返った。

 本作の注目ポイントについては、「『女性だからこうあるべき』という“思い込みの女性像”を春香が持っていて、そこを光が変えてくれる。女性にとってはすごく気持ちが休まるし、男性には『知らず知らずのうちに男女差別していたな』という気持ちになってもらえるかもしれません。『私なんて』と自己肯定感が低い春香と、実は『女装って恥ずかしいことなんじゃないか』と不安を抱いていた光が、お互いを肯定して高め合っていく。各々の登場人物の考え方が変わっていくところにも注目して、ぜひご覧ください」とメッセージを送った。

大高さえ子(プロデューサー)コメント

ドラマ化することになった経緯

最初は、映画でアシスタントプロデューサー(AP)としてご一緒していた脚本家志望の折戸(咲月)さんから、「大好きな作品なんです」と『シンデレラ クロゼット』のドラマ化企画書を受け取ったことがきっかけでした。ちょうどドラマストリームの企画募集があったので、私もさっそく原作を読んでみたところ、撮影中で忙しかったにもかかわらず一気に全巻読むほどハマってしまって。とても求心力のあるストーリーで魅力を感じました。折戸さんも多忙でしたが、企画が通りやすいように企画書のブラッシュアップをお願いして、無事採用に至りました。メインライターはベテランの加藤綾子さんにお願いしていますが、折戸さんには第5話と第8話を担当してもらいました。まだ駆け出しの彼女にとって脚本執筆の貴重なチャンスになりましたし、私にとってもすごく思い出深い作品になりました。

どんなところに惹かれた?

天真爛漫でウブな主人公・春香と、一見クールだけど、繊細で優しい光の関係性がとても素敵なんですよね。春香が光を友達として大事に思っているのに対して、光は早々に恋心を抱きながらも、それを隠して彼女の恋を応援する、という切ない構図が全世代に響くのではないかと思いました。実写化する上で、みんなは“女装男子の3次元化”について心配していましたが、正直、私はそれほど不安はなくて。むしろ、「繊細な登場人物たちの心模様を、モノローグに頼らず、どうやってドラマに起こしていくか」という点で、大変な思いをするだろうなと考えていました。

心の声を描く上で工夫したこと

最初は「妄想」という手法を考えたのですが、それでは春香のキャラクターとズレが生じてしまう。そこで、モノローグを使うのは春香が「本当は初デートなのに初めてではない」というシーンのように(第2話:13:41〜)、「本音と真逆のことを言っているときだけにしよう」と決めました。また、彼女が心の中で思っていることを別のキャラクターがポロッと言って、それを聞いてドキッとするような方法を取りました。他には原作者の柳井(わかな)先生に相談して、漫画で「こんな過去があった」と語られている部分を、ドラマではオリジナル要素として描いたりもしています。

尾碕真花にオファーした決め手

今回が4度目のお仕事なんですが、「企画が通った」と聞いた瞬間に尾碕(真花)さんの顔が浮かんで、すぐにマネージャーさんに連絡しました。最初にご一緒したときには主役オーディションを受けてくださっていたんですが、年齢やイメージが残念ながら合わなくて。そのとき、「こんな小さな役で申し訳ないな」と思いながらお声がけした“生徒A”のような役を快く引き受けてくださって、今をときめく方がたくさんいる中でもすごく光っていたんです。初めから“女優”だったんですよね。若いのに落ち着いていて、芯が強くて、肝が据わっている。今回4度目で念願の主役をお願いすることになって、ご本人もうれしいとおっしゃっていましたし、原作者の柳井先生も「素敵な方ですね」と喜んでくれました。

松本玲生の起用理由

光のことを知らない人たちは、女性だと思い込んでしまうレベルの女装男子。しかも、他の作品の女装男子は最初はあまり喋らないことが多いけれど、光はたくさん喋るキャラクターなので、これは困ったぞと。私の中で、見た目のイメージから「光は松本怜生さんだ!」と決めていたんですが、いちばん心配したのは声でした。それでも、松本さんには普段の地声より、役を演じるときのほうが声が高くなる印象があったので、「俳優だからうまいことイケるんじゃないかな」と期待して(笑)、お願いすることにしました。

松本の女装姿について

ご本人は顎のラインや肩幅を気にされていたので、「優秀なスタッフがいるから、堂々としていてください」とお話ししました。最初は「高い声で話そう」と意識されていたんですが、そうすることでお芝居に気がいかなくなってしまうので、「声は編集でイジれるから」と嘘をついて(笑)。実際に音程を上げるとヘリウムガスを吸ったような声になるので使えませんが、本人はそれで気が楽になったとおっしゃっていましたね。

春香のメイクのこだわり

もともと尾碕さんがかわいい方なので、冴えないメイクからかわいくなるのはとても簡単でした。色味は少女漫画の世界観に合わせてパステルを使っているので、尾碕さんの普段のメイクよりは“かわいらしい感じ”に仕上がっているかもしれません。もともと尾碕さんはショートヘアだったので、前髪からつむじまではご自身の髪で、後ろだけウィッグをつけてもらっているんです。途中で髪を切るシーンもありますが、すごくナチュラルに見えるので、メイクさんの腕に感謝しています(笑)。

変身後の春香は、真似したくなるようなファッション

原作では春香がよく着回しをしていて、そこも忠実に再現しています。ワンピースに見えるセットアップ(第2話:09:40〜)を上下別々に着ていたりもするので、「あれ、この間着てたニットじゃん」などと見つけていただくのも面白いと思いますね。春香はお金のない大学生なので、“安いものをうまく利用する”というコンセプトのもと、ファストファッションの服もたくさん着用しています。実際には高いブランドも使用していますが、同じようなもので代用もできるはずなので、すごく参考になると思います。

松本のメイクやファッションについて

松本さんがすごくプレッシャーを感じられていたので、メイクテストを何度か行い、ウィッグもいろいろと試しました。光は美容学校生なので、バンタン・ヴィーナスアカデミーを卒業したメイクアップアーティストの方にもご協力いただきました。メイクさんはもちろん、助監督たちも「すっぴんからメイクをすればこうなる」というのを実践してもらい、骨格などを意識しながらみんなで研究を重ねました。女装のときだけカラコンを入れていますが、それも何十種類も用意したものをまた助監督たちに試着してもらい、その中から選びました。ただ、松本さんはコンタクトに慣れていないので、それが一番の苦行だったみたいです。あと、松本さんは元々まつ毛がすごく長くて「うつ伏せで寝る癖があるから、起きると“天然ビューラー”がかかってる」と言っていましたね(笑)。持ち味が生かされて女性らしい目元だなと思いました。

光が春香にメイクを施すシーンについて

まずは長尺のメイク動画を送って勉強してもらいました。それから、本作のメイクさんが元々美容室で働いていた方だったので、松本さんに別途髪を切る練習を指導していただきました。別作品の撮影後だったので「疲れてるでしょう」と言っても、「逆に夜遅くなってしまってすみません」と一生懸命練習していましたね。独特なハサミの持ち方や撮影での見せ方などを学んでいただきました。メイクでいうと、リップを塗ったあとに口を「ンパッンパッ」とやるじゃないですか。それがとてもうまいんですよ(笑)。きっと天性のメイク男子なんだと思います。

現役の学生も出演?

学校のシーンにいるエキストラさんは、バンタンの学生さんにもお願いしています。ドラマの後半には、バンタンの学内イベントで実際に賞を取った衣装が出てくるシーンもあるので、ぜひ注目していただけたらと思います。

漫画を実写化する上で意識したこと

さまざまな事情で原作を変えさせていただいた部分もありますので、原作ファンの皆さんには「パラレルワールドのような感覚で楽しんでいただけたら」と思っています。原作者の柳井先生からは「絶対に変えてほしくないのは、登場人物の“キャラクター”です。“キャラクター”さえ分かっていてくだされば、どんな内容に変えても大丈夫です」と。実際、物語の構成に関してはなんでも受け入れてくださいましたが、セリフについてはとても細かく指摘していただきました。たとえば、かわいくなった春香を見た黒滝(八村倫太郎)が、漫画では「かわいい! いいじゃんいいじゃん」と言うんですね(第2話:11:00〜)。そこを私たちが「いいじゃん、かわいいよ」という脚本にしたら、先生が「黒滝は『かわいい』から始まって、『いいじゃん』というタイプなんです。人を上から評価するような人間ではないから、順番を戻してほしい」とおっしゃって。そこで私たちにも「そんなにも深い考えがあるのか」という気づきがあったので、そこからは一言一句気をつけながら、もし原作からセリフの変更がある場合には、“なぜ変わったのか”という理由付きの脚本をお渡しするようにしました。最初は何度も何度もやりとりしましたが、後半には私たちも“キャラクター”が体にしみついてきて、新しいエピソードを作っても「違和感がない」とおっしゃっていただけたので、すごくありがたかったなと思います。

光の美に対する持論“毒持論(どくじろん)”

実は、このドラマでは“毒持論”という言葉を一切使っていないんです。セリフだと、どうしても「毒持論」が「独自論」に聞こえてしまうんですよね。かといって、テロップで毎回表示するのもおかしい。そこで「“毒舌”にさせてもらえないでしょうか?」と先生に相談しましたが、あれは「毒舌ではないんですよ」と。光は性格の悪い毒舌キャラではなくて、毒要素のある持論を展開するキャラクターなんですよね。ですから、セリフはそのまま生かして、“毒持論”という表現だけをやめることにしました。

視聴者へのメッセージ

第1話の「20歳超えたらブスは自己責任」という光のセリフ(第1話:12:59〜)、まさに“毒持論”が最初にドーンと来ますが、これは容姿のことではなくて、自意識の問題なんですよね。20歳を超えたら、自虐しても笑えないから、その意識をちゃんと持っていなさいと。「女性だからこうあるべき」という“思い込みの女性像”を春香が持っていて、そこを光が変えてくれる。女性にとってはすごく気持ちが休まるし、男性には「知らず知らずのうちに男女差別していたな」という気持ちになってもらえるかもしれません。「私なんて」と自己肯定感が低い春香と、実は「女装って恥ずかしいことなんじゃないか」と不安を抱いていた光が、お互いを肯定して高め合っていく。各々の登場人物の考え方が変わっていくところにも注目して、ぜひご覧ください。

ドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』

柳井わかなの同名漫画を実写化したラブストーリー。オシャレな大学生活を夢見て上京した主人公・春香が、謎の超絶美女・光と出会い少しずつ変化していく模様を描く。

■放送情報
ドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』
TBS系にて、毎週火曜24:58〜25:28放送
※一部地域をのぞく、放送時間変更の可能性あり
TVer、TBS FREEにて地上波放送終了後見逃し配信
出演:尾碕真花、松本怜生、カルマ、水戸由菜、八村倫太郎(WATWING)
原作:柳井わかな『シンデレラ クロゼット』(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:加藤綾子、折戸咲月
演出:府川亮介、鳥居加奈、岡野宏信
主題歌:フレデリック「悪魔」(A-Sketch)
プロデューサー:大高さえ子
配信プロデューサー:齊藤彩奈、パリーク亜門、杉山香織
制作プロダクション:TBSスパークル
製作:「シンデレラ クロゼット」製作委員会
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/cinclo/

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