ワン・トン監督作『赤い柿』が劇場初公開　『台湾巨匠傑作選2025』7月26日より開催決定

　『台湾巨匠傑作選2025』が7月26日より新宿K’s cinemaにて開催されることが決定した。

　本イベントでは、台湾ニューシネマの監督作品やポスト台湾ニューシネマの作品など全19作品が上映される。

　ワン・トン監督は16本の監督作品を手がけたほか、『熱帯魚』『藍色夏恋』などをプロデュース。さらに100本以上の作品で美術指導を担当し、いまなお台湾映画の第一線を走り続けている。2019年、金馬奨終身成就賞を受賞し、2023年には大規模な回顧展『在歷史的荒地造景：王童導演回顧展』が開催された。第二次世界大戦下の農民の姿を田んぼに立つ案山子の視点で描く『村と爆弾』、日中戦争の最中、兵士として大陸から台湾に渡った2人の青年の戦後に至るまでを追った『バナナパラダイス』、日本統治時代台湾の金鉱山と娼館を舞台に貧しい庶民の姿を映した『無言の丘』の“台湾近代史三部作”などを手がけた。

　『台湾巨匠傑作選2024』にてこの“台湾近代史三部作”が公開されると、漫画家のちばてつやが『村と爆弾』について「人間の本来持っている図太い生命力や朗らかさに魅せられて、大いに励まされた気分になった」と絶賛コメントを寄せ、『台湾巨匠傑作選』歴代2位の動員数を記録し、大きな話題となった。

　“台湾近代史三部作”に続いて制作されたのが、ワン・トン監督の自伝的要素が強い作品として知られる『赤い柿』。大陸から台湾に移住した家族の生き様を祖母の存在を中心に描いた本作が、デジタルリマスター版となって本イベントで劇場初公開される。

　そのほか、ホウ・シャオシェン監督、エドワード・ヤン監督、ツァイ・ミンリャン監督、チェン・ユーシュン監督、ギデンズ・コー監督、ホウ・チーラン監督、フー・ティエンユー監督らの作品が上映される。

　さらに、台湾出身の漫画家・イラストレーターのガオ・イェンによる『赤い柿』の描き下ろしイラストが公開。ガオ・イェンは、村上春樹著『猫を棄てる 父親について語るとき』（文藝春秋）の装丁・挿画を手がけ、漫画『隙間』（KADOKAWA）の著者でもある。ガオ・イェンからはコメントも到着した。

　あわせて、本イベントと台湾の歩み、台湾ニューシネマをより理解するための書籍3作品とのタイアップが決定。台湾文学研究者・赤松美和子の最新刊『台湾文学の中心にあるもの』は、日本語で読める約50作品を紹介しながら、政治に翻弄されつつも、必死に格闘し、社会に介入してきた台湾文学を読み解いていく。『味の台湾』は、台湾の味わいを、時に甘やかに、時にほろ苦く描き出した『味道福爾摩莎』のオリジナル構成日本語版。食の風景から、歴史のなかを生き抜いてきた台湾の人々の姿を垣間見る、情感豊かなエッセイとなっている。そして『恋恋風塵』『悲情城市』など、不朽の名作の数々をホウ・シャオシェン監督とともに創り上げてきた女流作家チュー・ティエンウェンによるエッセイ集『侯孝賢（ホウ・シャオシェン）と私の台湾ニューシネマ』は、回顧ではなくまさにその当時、当事者の目線から描いた作品を中心に編んだ貴重な思い出が綴られている。なお、SNSのフォローとリポストで、各1冊がプレゼントされるキャンペーンも実施される。

　また、7月5日には映画『赤い柿 デジタル・リマスター版』　の上映と映画評論家の村山匡一郎が登壇するトークイベントが開催される。

ガオ・イェン（イラストレーター・漫画家）コメント

歴史の流れの中で、台湾には『赤い柿』で描かれていたような家庭が決して少なくなかったことでしょう。
それぞれが抱える思いや考え方は違っていても、同じ土地で共に生きてこられたということ――
とても幸せなことだったのだと感じます。

上映作品

『赤い柿』（デジタルリマスター版）※劇場初公開
監督：ワン・トン
出演：タオ・シュー、シー・チュン、ワン・シュエン、チャン・シーほか
1995年／台湾／168分／中国語

『村と爆弾』（デジタルリマスター版）
監督：ワン・トン
出演：チャン・ボーチョウ、ジョウ・シェンリー
1987年／台湾／98分／台湾語、日本語

『バナナパラダイス』（デジタルリマスター版）
監督：ワン・トン
出演：ニウ・チェンザー、チャン・シー
1989年／台湾／148分／中国語、台湾語

『無言の丘』（デジタルリマスター版）
監督：ワン・トン
出演：ポン・チャチャ、ホアン・ピンユエン
1992年／台湾／175分／台湾語、日本語

『風が踊る』（デジタルリマスター版）
監督：ホウ・シャオシェン
出演：フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チェン
1981年／92分／台湾

『坊やの人形』
監督：ホウ・シャオシェン、ソン・ジュアンシャン、ワン・レン
出演：チェン・ボージョン、ヤン・リーイン
1983年／108分／台湾

『風櫃の少年』
監督：ホウ・シャオシェン
出演：ニウ・チェンザー、チャン・シー
1983年／101分／台湾

『台北ストーリー』（4Kレストア・デジタルリマスター版）
監督：エドワード・ヤン
出演：ホウ・シャオシェン、ツァイ・チン、ウー・ニェンチェン
1985年／台湾／119分

『童年往事 時の流れ』
監督：ホウ・シャオシェン
出演：ユー・アンシュン、シン・シューフェン
1985年／138分／台湾

『恋恋風塵』
監督：ホウ・シャオシェン
出演：ワン・ジンウエン、シン・シューフェン、リー・ティエンルー
1987年／109分／台湾

『青春神話』
監督：ツァイ・ミンリャン
出演：リー・カンション、チェン・チャオロン
1992年／106分／台湾

『愛情萬歳』
監督：ツァイ・ミンリャン
出演：ヤン・クイメイ、リー・カンション
1994年／台湾／117分

『河』
監督：ツァイ・ミンリャン
出演：リー・カンション、ミャオ・ティエン
1997年／台湾／115分

『HHH：侯孝賢』（デジタルリマスター版）
監督：オリヴィエ・アサイヤス
出演：ホウ・シャオシェン、オリヴィエ・アサイヤス、チュウ・ティエンウェンほか
1997年／92分／フランス・台湾

『熱帯魚』（デジタルリストア版）
監督：チェン・ユーシュン
出演：リン・ジャーホン、シー・チンルン、リン・チェンシン
1995年／108分／台湾

『ラブ ゴーゴー』（デジタルリストア版）
監督：チェン・ユーシュン
出演：タン・ナ、シー・イーナン、チェン・ジンシン
1997年／113分／台湾

『狼が羊に恋をするとき』
監督：ホウ・チーラン
出演：クー・チェンドン、ジエン・マンシュー、グオ・シューヤオ
2012年／台湾／85分

『赤い糸 輪廻のひみつ』
監督：ギデンズ・コー
出演：クー・チェンドン、ビビアン・ソン、ワン・ジン、マー・ジーシアン
2021年／台湾／128分

『本日公休』
監督：フー・ティエンユー
出演：ルー・シャオフェン、フー・モンボー、ファン・ジーヨウ
2024年／106分／台湾

■イベント情報
 映画『赤い柿 デジタル・リマスター版』　上映＆トークイベント
日時：7月5日（土）開場14:30／開演15:00（上映時間168分）※上映後にトークイベントあり
場所：東京大学駒場キャンパスKOMCEE East K011 （東京都目黒区駒場3-8-1 KOMCEE East地下1階）
登壇者：村山匡一郎（映画評論家）

■公開情報
「台湾巨匠傑作選2025 ワン・トン（王童）監督自伝的最高傑作『赤い柿』劇場初公開！」
7月26日（土）より、新宿K’s cinemaほか全国順次開催
料金：一般1,600円／大・高1,400円／シニア1,200円／中・小・障がい者1,000円／特別鑑賞券（3回券・特製ポストカード付き）3,600円
配給：オリオフィルムズ
配給協力：トラヴィス
共催：国家電影及視聴文化中心
特別協力：台湾観光庁
後援・協力：台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
協力：Cinema Drifters、大福
公式サイト：https://taiwan-kyosho.com