『魔物(마물)』“DVは甘美な世界”という不都合な真実 日韓共同作品だから描けた“内側”
それにしても、やはりこんなDVの描き方ができたのは、日韓共同制作のなせる技なのか。日本的なコンプラや価値観では、この描き方はなかなかできなかっただろう。本作は、『梨泰院クラス』(2020年)や『SKYキャッスル』(2018年)などを手掛けた韓国の大手映像制作スタジオSLLとテレビ朝日との共同制作である。テレビ朝日のエグゼクティブプロデューサーの内山聖子は、「日本のテレビドラマは閉塞感があるというか、一つのパターンに流れてしまっている」「お仕事モノやサスペンスは確立されている一方で、人間の欲望やラブを描くチャンスは少なくなった」と述べ、韓国ドラマの力を借りたと語っている(※)。DVや不倫を最初から許されないものと描くのではなく、ラブストーリーとしての側面からも目を逸らさずに描けたのは、共同制作の賜物だと言って良さそうだ。
塩野瑛久が体現した究極の“メロ”と暴力 『魔物(마물)』は視聴者に「愛とは何か?」問う
不倫、DV、殺人事件……。過激なテーマとともに、満たされない人たちの、歪んだ人間模様を描き話題となっている金曜ナイトドラマ『魔物…もちろん、DVが犯罪で許されないことであり、健全な関係ではないことは明白だ。第6話で、あやめはついに凍也を殴り返し反撃に出る。自ら相手に立ち向かうDV被害者の姿もあまり見たことがなく、力強かった。とはいえ、今後、あやめが何か犯罪を犯すような描写もあることから、物語に救いがあるのかはまだわからない。人間の欲望に切り込んだ本作は、近年まれにみる問題作になることは間違いなさそうだ。
参照
https://www.asahi.com/articles/AST5R2BW9T5RUCVL004M.html
テレビ朝日が、韓国のスタジオ・SLLとタッグを組んで送る日韓共同制作オリジナルドラマ。不倫、DV、セックスなど愛と欲望にまつわる過激なテーマを掲げたラブサスペンス。麻生久美子と塩野瑛久が初共演にして濃厚なシーンに臨む。
■放送情報
『魔物(마물)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~24:15放送
出演:麻生久美子、塩野瑛久、北香那、神野三鈴、佐野史郎、大倉孝二、落合モトキ、宮本茉由、宮崎吐夢、うらじぬの、若林時英
原案:シン・ウニョン
脚本:関えり香
監督:チン・ヒョク、瀧悠輔、二宮崇
音楽:jizue
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)、パク・ジュンソ(SLL)
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、チェ・へウォン(SLL)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、イム・チョヒ(SLL)、河野美里(ホリプロ)
制作著作:テレビ朝日・SLL
制作協力:ホリプロ
©テレビ朝日・SLL
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/mamono/
公式X(旧Twitter):https://x.com/mamono_tvasahi/
公式Instagram:https://www.instagram.com/mamono_tvasahi/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@mamono_tvasahi/