『ワンピース』の後継枠に異色作 『TO BE HERO X』は“メディア社会”を意識した作品に?

 TVアニメ『ワンピース』が放送されていた日曜9時30分の枠の後継作としても注目を集める、TVアニメ『TO BE HERO X』が4月6日より放送される。本作で原作・監督を務めるのは、『時光代理人 -LINK CLICK-』『詩季織々』などで国際的な評価を得たリ・ハオリン。中華圏と日本の合作プロジェクトとして位置づけられる本作は、信頼を“力”とする独自のヒーローシステムを採用し、異彩を放っている。その中心に立つのが、主人公でありヒーローランキングNo.1に君臨する“X”というキャラクターだ。

 本作の最大の特徴は、ヒーローの力が人々の“信頼”によって左右されるという世界観にある。視聴者や市民による評価こそが能力の発動条件となり、信頼が失われれば力も消失する。こうしたシステムはヒーローたちを偶像として成立させると同時に、脆弱な信仰に依存させるものでもある。ヒーローたちは信頼値を可視化されたランキングにより競わされ、その頂点に立つ者だけがXの称号を得る。つまりXとは個人名ではなく、タイトルであり、象徴的な存在なのだと予想できる。

 この設定は、現代のSNS文化やインフルエンサー社会を強く意識したものだろう。個人の価値が可視化され、数値化され、消費される現代。ヒーローという概念そのものが、公共の幻想で成り立っているという本作のビジョンは、単なるアクション作品に留まらず、メディア社会への鋭い批評性を帯びている。

 まず、Xはどの組織にも属しておらず、単独で活動するスーツマンであると紹介されている。ヒーロー協会といった権威を背負わず、それでいて市民から最も信頼されている。この矛盾は、Xの存在自体が制度の外にいることを示唆する。

「TO BE HERO X」キャラクターストーリームービー《X編》 | フジテレビにて25年4月日曜朝9時30分放送開始!

 公式映像では、Xの素顔(あるいは変身前の姿)が描かれている。昼間は平凡なオフィスに勤務する会社員であり、周囲の人々は「ヒーローXの正体は誰か」という噂話をしている。しかし、彼こそがX本人なのだ。変身後の姿は、全身白のスーツに身を包んだ洗練された立ち姿。指先ひとつで防犯カメラをショートさせる描写もあり、電気系か空間系の超常的能力を持っていると推察される。ただし、映像ではあくまで能力の片鱗が示唆されるに留まっており、その全容は不明のままだ。

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