『おむすび』菅生新樹&松平健の佇まいに涙腺崩壊 ギャル第2形態で「再びの神戸編」開幕
結(橋本環奈)が両親とともに幼い頃に住んでいた神戸に行くため、福岡・糸島を旅立った『おむすび』(NHK総合)第36話。冒頭に流れた、糸島編を振り返るダイジェスト映像を観て、改めて短く濃密な時間だったと思わされる。
ここまでしっかりと話数を割き、震災から止まっていた結の時間が動き出すまでの過程を丁寧に描いてきた本作。人の傷はそれほど簡単に癒えるものではないということを伝えようとしているような、誠実な向き合い方だ。
今回描かれた結の旅立ちにも、繊細な心遣いが感じられる。6歳のときに家族で糸島に移り住み、そこから高校生になるまで姉・歩(仲里依紗)のこともあって自分を抑え込んでいた結。そんな彼女は、他人の目を気にせず、好きを貫くギャルたちや、夢に向かってまっすぐ突き進む翔也(佐野勇斗)との関わりを通して、少しずつ自分を解放していった。
結を変えてくれた新たな出会い。しかし、その一方で本編では描かれていない長い時間の中で結を温かく見守ってくれた人たちがいる。それは祖父母の永吉(松平健)や佳代(宮崎美子)、幼なじみの陽太(菅生新樹)だ。
健康的で思いやりのこもった料理で家族の心身を支えてきた佳代。お調子者で不器用だけど、実は誰よりも家族思いな永吉。そんな永吉に頼まれ、自分の気持ちは後回しで結を気遣ってきた陽太。そんな目には見えない優しさで結を守ってきてくれた人たちのことを本作はないがしろにしない。永吉はしんみりとした雰囲気が苦手なのか、お見送りには来なかったが、佳代や陽太が結と別れる時間をしっかり作ってくれた。もちろん、今生の別れではなく、これからも会おうと思えばいつだって会える。しかし、最後まで明るく振舞っていた陽太の電車を見送った後の泣き顔や、黙々と畑作業にいそしむ永吉の寂しそうな背中に涙腺が崩壊したのは筆者だけではないだろう。
そして、高校を卒業して茶髪に染め、ギャル第2形態となった結は聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)とともに神戸へ。12年ぶりに降り立った神戸は復興が進み、かつての賑わいが戻っていた。結たちが暮らしていた「さくら通り商店街」には、聖人が責任者を務めていたものの震災で一時断念となっていたアーケードも設置されている。震災で崩れた理容店も元通りになっており、2階の住居部分は賃貸マンションになっていた。