トム・ハーディの独演会&ズッコケ珍道中 『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の適当な“ヌルさ”
しかし、どうしてウルっとくるのか? それはこの映画を、ついついメタ的に観てしまったからだ。先に書いたように、1作目の『ヴェノム』は明らかに手探りな映画だった。ヴェノムというキャラをどのように扱えばいいのか? どこに魅力を見出すか? まったく分からず、トムハの暴走演技が輝く珍味感があったのは否めない。しかし、2作目でそのへんを何となく掴んで、今回では完全に「ひとりバディアクション」として完成されていた。これはそのまま、劇中でヴェノムに戸惑いながらも、徐々に打ち解け、いつしか大事な相棒となっていくエディの姿と重なる。だからこそ、最後のシーンが胸に来たのだろう。2018年から始まったシリーズを6年間(小学1年生が卒業してしまう)も追いかけてきた人間として、「ああ、せっかくここまで仲良くなったのに、本当にここで終わっちゃうんだなぁ」と少しの寂しさと、しかしちゃんと終わった喜びがやってきたのだ。
相変わらず歪な部分はある。MCUの映画に比べると、こなれていない感じもある。完璧だとか、革新的だとか、そういう言葉も似合わない。しかし『ヴェノム』シリーズの一応の(アメコミ映画はまた何があるか分からないから、「一応」と書いておこう)完結編としては及第点だろう。とりあえず、トム・ハーディが楽しそうだからOKです! 暗かったり、真面目な映画が多いもんね。トムハは。
■公開情報
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』
全国公開中
Filmed for IMAX®/Dolby Cinema®/Dolby Atmos®/ScreenX with Dolby Atmos® (全て字幕版のみ)
2D/MX4D®/4DX/ULTRA 4DX/ScreenX (字幕版/日本語吹替版)
出演:トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、ペギー・ルー、アラナ・ユーバック、スティーヴン・グレアム
監督・脚本:ケリー・マーセル
原案:トム・ハーディ、ケリー・マーセル
プロデューサー:アヴィ・アラド、マット・トルマック、エイミー・パスカル、ケリー・マーセル、トム・ハーディ、ハッチ・パーカー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.venom-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/VenomMovieJP