『らんま1/2』

　90年代を代表する作品では、高橋留美子の名作である『らんま1/2』がリメイクされる。近年は『うる星やつら』など、過去の名作をリメイクする流れがあり、ファン待望の再映像化だ。メインキャストは旧作と変わらず、山口勝平や林原めぐみ、日高のり子、井上喜久子などの面々がドタバタコメディを繰り広げる。

 　監督は『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』など、多くの作品を手掛けてきた宇田鋼之介が務め、MAPPAがアニメーション制作を担当する。MAPPAは近年ヒット作を連発しており、アニメファン最注目のスタジオでもある。ラブコメでありながらもアクションパートも豊富な作品であり、PVは90年代前後の絵柄を残しながらも、現代風にマッシュアップされた映像表現が楽しめる作品に仕上がっている。

『チ。―地球の運動について―』

　次に紹介するのは『チ。―地球の運動について―』。2020年から2022年まで連載された魚豊による漫画のTVアニメ化作品だ。物語は15世紀のヨーロッパを舞台に、天動説から地動説へと研究を進める中で、教会の教えに反するとしてさまざまな苦難が襲いかかる人々を描いた群像劇だ。清水健一が監督を務め、マッドハウスがアニメーション制作を担当する。

　日本の漫画・アニメ文化の大きな特徴であり強みの1つが、日本国外の歴史に基づいた作品も制作される点だろう。今作も地動説へと転換が起き、時代と価値観の変化を描くという、他に類のない視点の作品となる。今作はあくまでもフィクションであり、史実を忠実に再現した作品ではないが、科学の発展によりそれまでの価値観が一変し、大きな衝撃を受けた当時の人々の実感が伝わるのではないだろうか。

『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』

　最後に紹介するのは全世界発行部数4000万部を突破するなど、大人気サッカー漫画である『ブルーロック』の2期だ。サッカーW杯で日本が優勝するために集められた300人のFW選手によるサバイバル合宿であるブルーロックプロジェクトを勝ち抜いてきた面々が、いよいよ世界の舞台で戦うサッカー日本代表U-20との対決を迎える。

　その突飛な設定や実在の選手を揶揄するような表現により、激しい賛否が巻き起こる作品であるが、サッカーにかける情熱など、王道の魅力も兼ね備える作品だ。またスピンオフ作品である『劇場版ブルーロック EPISODE 凪』が制作されるなど、サブキャラクターの人気も高い。多人数の活躍が描かれるU-20との対決に、心躍るファンも多いのではないだろうか。

　その他にも『ラブライブ！スーパースター!! 第3期』『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 豊穣の女神篇』などの大人気作の続編も放映され、放送前から豊作のシーズンとなることが予想される。秋の夜長にTVアニメをじっくりと鑑賞するにも、連夜寝不足になりそうな作品たちに、今からうれしい悲鳴が聞こえてきそうだ。