『光る君へ』吉高由里子「無理」に現代人こそ共感? “推し”となる彰子に出会ったまひろ

 まひろの心が動く相手は道長だけではない。まひろは彰子にも興味を惹かれている。ほとんど笑顔を見せず、自分の意見を発さない彰子だが、女房たちの中でまひろだけはそんな彰子の意外な一面を知ることになる。女房たちが目を離した隙に、彰子は敦康親王(池田旭陽)に「内緒」と声をかけ、こっそりお菓子を渡していた。もともと、敦康親王には柔らかな微笑みを見せていたが、ここでのやりとりでは年相応のいたずらっ子のような笑顔を見せる。そんな彰子とまひろは、まひろが一度藤壺を去る際に言葉を交わす。

「私は、冬が好き」
「空の色も好き」
「私が好きなのは、青。空のような」

 自分の意志を示す彰子に、まひろは僅かながら心惹き込まれるような表情を浮かべた。公式サイト内で公開されているキャストインタビュー動画『君かたり』では、吉高が彰子とまひろの関係について、ききょう(ファーストサマーウイカ)と定子(高畑充希)の関係を思い出し、ききょうたちの熱量とは少し違う部分がありながらも「ききょうの激推し爆誕回があったじゃないですか、あの感覚かって」とコメントしている。彰子とはそれ以上、言葉を交わすことはできなかった。だが、彰子が自分の好きなものを教えてくれたこと、物言いたげにまひろを見つめていたことに、まひろは何か感じ入るところがあったはずだ。

 実家に戻ったまひろは、惟規(高杉真宙)から「中宮様って『うつけ』なの?」と問われた時、「うつけではありません。奥ゆかしいだけ。ご意志はしっかりおありになるわ」と自分ごとのように怒った。かつてまひろも、公任(町田啓太)や斉信(金田哲)に自分を好き勝手に評価されたことがある。それゆえ、彰子に対して周囲が好き勝手に評価するのが許せなかったのだと分かる。

 さまざまな人と出会い、彼らの感情に触れてきたまひろだからこそ、慎ましい彰子の心情を汲み取れる。彰子もまた、そんなまひろだからこそ、臆せず自分の言葉で語ることができるのかもしれない。まひろが原稿の続きを届けに藤壺を訪れ、まず彰子に挨拶に行った際も、彰子は「帝がお読みになるもの、私も読みたい」と言った。まひろが手短に話の設定を語って聞かせると、彰子はどこか嬉しそうだ。後に、道長に原稿を届けに行ったまひろは、霧が晴れたような表情でこう伝えた。

「中宮様のお心の中には、表に出てこないお言葉がたくさん潜んでおるのやもしれませぬ」
「中宮様ともっとお話ししたいと存じました」

 まひろに対する彰子の言動と、そんな彰子に惹かれていくまひろの様子は、ききょうが定子と出会った時のような強い印象はなくとも、まひろと彰子が静かに、ゆっくりと、絆を深めていくであろう未来が想像できるものだった。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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