大人の俳優たちを相手に展開させていく演技は、『おちょやん』の千代役に連なる系譜。けれどもこのときの毎田は、力業で押すばかりではなかった。千代は生きていくために強くあらねばなかったが、『妻、小学生になる。』の妻は大切な人々を残してこの世を去った存在。強さの中に、ときおり弱さや優しさが垣間見える。しかもときおり、素の小学生に戻ったりもする。毎田のポテンシャルの底知れなさには何度も打ちのめされた（泣かされた）。

　ちなみに余談だが、この作品で生前の妻を演じていたのは石田ゆり子だった。石田といえばご存知、『虎に翼』では寅子の母を演じている。ここには何か特別な縁があるような気がする。

　話を『虎に翼』に戻そう。優未は寅子とともに、星航一（岡田将生）の家で生活していくこととなる。新しい家族との暮らしがはじまるわけだ。年の離れた兄と姉もいる。いまのところ毎田はおしとやかな優未像を立ち上げているが、もしかするとここに、ある種の“強さ”などが見えてくるかもしれない……。そう、どうしても毎田のあの力演を期待してしまうのだ。

参照
※ https://realsound.jp/movie/2024/07/post-1734421.html

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合：毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、（再放送）毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム：毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、（再放送）毎週土曜8:15〜9:30
BS4K：毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、（再放送）毎週土曜10:15～11:30
出演：伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作：吉田恵里香
語り：尾野真千子
音楽：森優太
主題歌：米津玄師「さよーならまたいつか！」
法律考証：村上一博
制作統括：尾崎裕和
プロデューサー：石澤かおる
取材：清永聡
演出：梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供＝NHK