悠木碧の声優力は“少年役”で活きる! 『逃げ上手の若君』風間玄蕃“二面性”の表現力

 そんな玄蕃を演じているのが悠木碧だ。『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどか役をはじめ、『薬屋のひとりごと』の猫猫役、『七つの大罪』のディアンヌ役など、女性キャラクターを多く演じている印象があるが、実は少年役も巧みにこなす声優でもある。「誰も俺には逆らえない。敵に回せば地獄を見るからだ」と時行の背後から登場するシーンでは、一見すると悠木が演じているとは思えないドライでクールな声色だった。きっと前情報がなければ、エンドロールで名前を見るまで誰が演じていたのか分からなかっただろう。

 声優として声を当てる際に、ともすればその人の個性が声に現れることも少なくないが、悠木の声はいつ聞いてもフラットな感覚で聞くことができる。悠木は玄蕃について「玄蕃の魅力は9割の汚さと1割のカッコ良さを絶妙なバランスでひとキャラに内包できているところだと思ったので、オーディションでは誰より汚く演じよう!と取り組みました」とコメントしていた。そうしたキャラクターに求められる要素も細かく取り入れて、人物を立体的に演じられるのが悠木のすごいところだ。

 貞宗の館から帝の綸旨の盗みを試みた際に、時行の顔に化けた玄蕃が「疑わずに俺を使える自信はあるか? 百万人の武士に裏切られた若君様」と時行に顔を近づけるシーンでは、ドライな声色に艶っぽさが乗っていて、美しい絵になっていた。

 今回、久しぶりのメインどころの少年役ということで、悠木の新たな一面を見る機会が増えていきそうだ。来週も悠木の演技巧者な一面が見られることだろう。

■放送情報
『逃げ上手の若君』
TOKYO MX、BS11ほかにて、毎週土曜23:30〜放送
キャスト:結川あさき、矢野妃菜喜、日野まり、鈴代紗弓、悠木碧、戸谷菊之介、中村悠一、小西克幸
原作:松井優征(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:山﨑雄太
シリーズ構成:冨田頼子
キャラクターデザイン・総作画監督:西谷泰史
副監督:川上雄介
プロップデザイン:よごいぬ
サブキャラクターデザイン:高橋沙妃
色彩設計:中島和子
美術監督:小島あゆみ
美術設定:taracod/takao
建築考証:鴎利一
タイポグラフィ:濱祐斗
特殊効果:入佐芽詠美
撮影監督:佐久間悠也
CGディレクター:有沢包三/宮地克明
編集:平木大輔
音響監督:藤田亜紀子
音楽:GEMBI/立山秋航 
音響効果:三井友和
制作:CloverWorks
©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
公式サイト:https://nigewaka.run/
公式X(旧Twitter):@nigewaka_anime

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