『虎に翼』よね&轟の“最強タッグ”が誕生 “自分らしさ”に向き合ってきた2人の共通点

 人一倍強い正義感を持ち、不器用。自身に対してストイックで自らの確固たるスタイルを持つ。そして人に弱みを見せることが苦手。そんな共通点を持つのが轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)だ。この2人を花岡(岩田剛典)がまた引き合わせた。2人が手を組み弁護士事務所を立ち上げることになった『虎に翼』(NHK総合)。

 花岡が「人としての正しさと司法としての正しさの乖離」に苦心し続けた結果のあまりに痛ましい死を新聞で知り愕然とし、やけ酒を煽っていた轟。そんな彼は、よねにポツリポツリと花岡への思いをこぼすことで最後は大声を上げて泣くことができた。

 振り返れば、周囲から誤解を受けやすいところも2人はよく似ていた。貧しい農家の出自で、身売りされそうになったところを短髪にし女を捨てることでなんとか回避したよね。しかし身売りされた姉を助けるために、いかがわしい男性弁護士を頼る他なかった女性である自分を呪いながらも、「私は欲しい。今のあたしのまま、なめ腐った奴らを叩きのめすことができる力が」と死に物狂いで勉強し、女子部法科の門を叩いたのだった。

 よねの凄いところは、常に怒りを自分の中に蓄えているところだ。それは過酷な生い立ちから来ているのは間違いないが、大抵の場合、流されてしまった方が楽なことだって多い。しかしながらよねの場合には、自らの運命を呪うだけでなく諦めなかった。自身の規定ルートに飲み込まれずに、常に自分の頭で考え行動してきたからこそ。はなから人より多くのハードルを課されている自身の人生や、頑張ることができるチャンスに溢れているのにそれにすら気づかない人々への苛立ちを禁じ得ない。

 寅子(伊藤沙莉)に浴びせた第一声は「ヘラヘラして鬱陶しい。お前みたいなのがいるから、女はいつまでも舐められるんだよ!」だったが、全てよねが自分自身に言い聞かせている言葉にも思える。並々ならぬ覚悟を持って女子部に入学したからこそ、周囲を寄せ付けないことで自分自身を追い込んでいるようにも見えた。

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