高橋大輔、映画『蔵のある街』で俳優に挑戦 「新しい自分を発見できるチャンス」

 フィギュアスケーターの高橋大輔が、映画『蔵のある街』で映画初出演を果たすことがわかった。

 本作は、山田洋次作品の多くで脚本、助監督を務めてきた平松恵美子が、地元である岡山県倉敷市を舞台に、地元高校生たちが花火の打ち上げに奔走する姿を描いた物語。

 2020年から始まったコロナ禍に、医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーへの感謝の気持ちや、今は直接会えないけれど同じ花火を見上げて、必ず元気で再会しようという相手を思いやる気持ちが込めらたサプライズ花火が日本全国世界各地で上げられた。倉敷市でも楽しみにしていた行事を奪われた子どもたちのためにサプライズ花火が上げられ、その花火を上げた有志の一人が、平松監督の幼なじみであったことから映画の着想を得たという。

 製作を担当したのは、平松の同級生や知人たちが作った実行委員会。まる2年をかけて協賛金を募ったが、思うようには集まらず。一度は諦めようとしたが諦めきれず、試作品としてのパイロット版を撮影しYouTube公開したことが、企業版ふるさと納税対象事業として『蔵のある街』の選出へとつながった。また倉敷市としては、事業として映画を選出、さらに全ての撮影を倉敷市でロケし、全国公開を目指す映画は初の試みとなる。

 倉敷に住む男子高生・難波蒼はある日、幼なじみの女子高生・白神紅子の自閉症スペクトラム障害の兄が、神社の大木に登って大騒ぎを起こしていたところへ行き合わせる。紅子の兄は幻の花火を見て騒いでいたのだ。蒼は「俺が本物の花火を打ち上げてやるから降りてこい!」と言って騒動をおさめた。しかし、紅子は感謝するどころか涙を流しながら怒る。「自閉症」の兄だから、できもしない約束でごまかした。兄は約束を忘れないから、毎日傷つく」。蒼は、真実を突かれてショックを受ける。紅子に密かな思いを寄せていた蒼は、約束を守って花火を上げようとするが、どうしたらいいのかわからない。実は紅子にとって「花火」は特別な意味があった。蒼が自分たちのために奮闘し始めた姿に、頑なになっていた紅子の心が次第に開かれていく。軽口が本気になり、本気が苦い挫折を生み出し、挫折の中で再び立ち上がる。そんな蒼たちの奔走が徐々に周囲の人びとに伝わるが……。

 高橋をはじめ、MEGUMI、前野朋哉、林家正蔵、橋爪功ら、倉敷・岡山出身の俳優たちが平松監督の出演依頼を快諾し、キャストに名を連ねた。

 本作が映画初出演となり、倉敷市出身のフィギュアスケーター・高橋が演じるのは、蒼たちの相談相手となる美術館の学芸員。同じく、倉敷市出身であるMEGUMIが、女子高生・紅子の母親であり物語のキーパーソンでもある芸術家役を演じる。そして、岡山県美作市出身である堀家一希が、紅子の自閉症スペクトラム障害の兄という役どころに挑戦する。

 倉敷市出身である前野は、高校生のたまり場ジャズ喫茶の人の好いマスター役を担当。同じく倉敷市出身のミズモトカナコが、紅子を見守り、時に背中を押す美術教師役を演じる。

 そのほか、橋爪、正蔵の大御所2人に加え、櫻井健人、長尾卓磨、平松組常連メンバーとして、田中壮太郎、陽月華、北山雅康の出演が決定している。

 なお、オーディションで見事主役の座を勝ち取った男子高生・蒼役と女子高生・紅子役の発表は7月を予定している。

 高橋、MEGUMI、前野、林家、橋爪からはコメントも到着している。

コメント

高橋大輔

スケートを初めて30年という節目の年に、
また新たな挑戦をさせていただくことになりました。
競技人生を終えた後も、アイスショーをはじめ、様々なエンターテイメントに挑戦してきました。
今回は映画のお芝居ということで、不安も多々ありますが、新しい自分を発見できるチャンスと捉え、出演させていただくことを決意しました。そしてなにより、僕のルーツである「倉敷」が舞台ということで、とてもご縁を感じております。

平松監督をはじめ、スタッフの皆様、出演者の皆様からお力添えをいただきながら、ご覧いただく皆様の活力となる作品を目指してまいります。

MEGUMI

私の大切な故郷、岡山での映画作品に参加させて頂ける事に心踊っています。特別な想いを馳せながら、撮影を楽しみたいと思っています。

前野朋哉

読み終えたあと、とても清々しい気持ちになる脚本でした。故郷、倉敷の街並みを思い浮かべながら読み進める物語。登場人物の想いに心を馳せながら、ページを捲るのが楽しかったです。
僕もかつてこの物語に出てくる高校生たちと同じく、高校生という厄介な時期を倉敷で過ごしました。目の前の現実から逃げ出して、学校をサボって大原美術館に行ったこともありました。今から思うとずいぶん贅沢な逃避行だな、とも思いますが、そんな貴重な街並みや文化に囲まれて過ごせたことに今は感謝しています。
これから映像化するにあたり、主人公たち高校生があの街を走り、語り、悩み、心を振るわせるのが楽しみでなりません。きっと、素敵な作品になると思います。僕も「希望」を持って取り組みたいと思います。

林家正蔵

平松監督の脚本を幾度も読み返しています。

そのたび どの登場人物に対しても 冷静でいながらも どこまでも優しい視線で描き出す。言葉の ひとつ ひとつに 心ときめきます。
東京の下町に生れ育った私は 豊かな自然に恵まれた岡山、倉敷には落語の公演で 何度も伺いながらゆっくりと街を巡ることがなかったのですが 台本を読み返すたび倉敷のすばらしさに ふれた気持ちになります。
しっかりと地に足をつけた芝居でお役を務めたいと決心するとともに 岡山のそして倉敷の魅力をじっくりと肌で感じてみたいと思うばかりです。
「蔵のある街」。 御期待下さい。

橋爪功

すべてを平松監督にゆだねます。

平松恵美子(監督)

故郷である倉敷で映画を撮るということは、最高に嬉しいことであり、一方いい年して苦悩しもがく姿を故郷の人びとに全方位的に見られてしまう、それはそれは最高に恥ずかしいことでもあります。でも、故郷と故郷に暮らす人びとにはいつまでも元気でいてほしい。美しい街並み、豊かな自然、奥深い文化を、誇らしく大切に思うのはもちろんだけれど、同時に、大好きな映画の道に進むことができたのは、この街が私を育ててくれたから。この映画に集ってくれた素晴らしいキャストの皆さんと、何度でも観たくなる倉敷発の映画『蔵のある街』を、この夏、精一杯の努力と汗と恥をかきながら作るのだと、わくわくする思いでいっぱいです。

■公開情報
『蔵のある街』
2025年夏公開予定
脚本・監督:平松恵美子
出演:MEGUMI、前野朋哉、高橋大輔、林家正蔵、橋爪功ほか
配給:マジックアワー
©︎2022 映画『蔵のある街』制作委員会
公式サイト:https://kuranoarumachi.com/

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