『ドクタースランプ』パク・ヒョンシクの歌声が染み渡る 相反する感情に苦しむジョンウ

 ジョンウもまた、相反する感情に苦しみ、胸の内をハヌルの母ウォルソンに明かす。ジョンウは、ギョンミンのことを「なぜかいい思い出ばかり浮かびます」「誰も来なかった卒業式に唯一来てくれたんです」と話す。当時、ギョンミンもまた悲劇に見舞われていたのに、そんなそぶりを見せない姿と、その後に笑顔のギョンミンの写真を映す演出が心を揺さぶり涙腺を刺激する。写真に映るギョンミンの笑顔が、ギョンミンの本当の優しい姿そのものなのだろうと思われる。取り返しのつかないことが起こる人生の中で、どこにも向けようのない刃のような感情を一人持っていた彼の胸中は如何ばかりかと思われる。ジョンウもまた、それがわかるからこそ苦しいのだ。

 「昨日許す気になっても、今日は許したくない」「恨めないけど、理解もできない。つらすぎます。どうしたらいいんでしょう」と泣くジョンウに、ウォルソンは「誰かを許すのはその人のためではなく自分のためよ。誰かを恨み続けるのはすごくつらい」「相手を許せとは到底言えない、そのままの状態で過ごしてみよう」と優しく応える。ハヌル一家の墓参りに同行したジョンウは、そこで自分の胸の内を明かした。ジョンウがハヌルの母に伝えた言葉は、本当だったら自分の母に伝え、怒り、共に嘆き悲しみたかっただろう。しかし、ジョンウの家族はそういう家族ではない。冷たい家の中にいたジョンウに、ハヌル一家は温かな優しさを注ぎ込む。

 物語はクライマックスを迎え、ハヌルは復帰への道を歩みだす。ジョンウも大きな波に立ち向かった。サブカップルであるピン・デヨン(ユン・バク)とイ・ホンラン(コン・ソンハ)の恋も進展を見せている。物語が終着点へと進む中、ヒーリングロマンスである本作のヒーリング力に大きな力を添えるのが、パク・ヒョンシクが歌うOST「僕に頼って」だ。これまでも、パク・ヒョンシク主演のドラマでは、彼自身の歌う曲がOSTとして使われ、作品を盛り上げてきた。本作でも、ハヌルとジョンウのラブシーンに、パク・ヒョンシクの甘い歌声が流れて心に染み渡る。「僕に寄りかかって、転ばないように、一人で苦しまないように」「一緒に過ごす夢を見よう」と歌うパク・ヒョンシクの澄み渡る高音の声が響き、胸を甘くさせる叙情的な場面となっている。いよいよ次週でラストを迎える本作。再生を果たし歩みだす、ハヌルとジョンウの眼差しが映す未来を楽しみにしている。

■配信情報
『ドクタースランプ』
Netflixにて配信中
出演:パク・ヒョンシク、パク・シネ、ユン・パクほか
(写真はJTBC公式サイトより)

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