『ブギウギ』スズ子×愛助の幸せな時間を描いた意図とは 友近へのオファー理由も
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。
スズ子の妊娠、愛助(水上恒司)の病の再発、羽鳥善一(草彅剛)発案によるジャズカルメン。怒涛の展開となった第17週について、制作統括の福岡利武は「エピソードも濃密ですが、実際の笠置さんの状況に近いものがあると思います」とノンフィクションの要素が強いことを明かす。
「もしゼロから物語を作っていたとしたら、この展開は思いつかないと思うんですよね。やはり笠置さんが戦後に経験された劇的な展開は本当にすさまじいですし、その中で、舞台できちんと観客を魅了し続けたのは素晴らしいことだと思います」
第80話では、スズ子と愛助が箱根旅行へ。湖の湖畔で写真を撮ったり、おいかけっこをしたり……これから離れ離れになる2人の想いがあふれる名シーンとなった。
撮影が行われたのは、琵琶湖の北側に位置する余呉湖。福岡は「本当に静かな湖畔で、綺麗な場所でした。天気も良くて、趣里さんも水上さんもすごくリラックスしてロケを楽しんでいらっしゃいましたね。本当に景色が良かったので、気持ち良く撮影できたのではないかと思います」と振り返る。
「(ドラマの)撮影が始まってから長く時間も経っていますし、2人の息がピッタリで。水上さんも堂々と楽しみながらお芝居してくれたので、見ているみんなも笑ってしまうような、とても微笑ましいロケでした。“2人のつかの間の幸せな時間”ということで、象徴的に描くことができていたら嬉しいです」
また福岡は「2人にとって嬉しい時間ではあるけれど、だからこそ『離れたくない』という気持ちが強く湧き上がってくる。ちょっと切なさも交えています」とし、「2人の幸せな時間を写した写真は、今後も大事なアイテムになっていきます」と予告した。
2人の幸せを願うからこそ憎らしい、愛助の病。時系列通りに撮影する“順撮り”ではないため、見た目で病を表現するのは難しいが、福岡は「水上さん自身、台本を読んで“病で痩せこける”というのは大事なポイントだと思っていたので、だいぶ前の段階から自分の肌の色や痩せ具合を考えていらっしゃいました」と水上の役に向き合う姿勢を明かす。
「水上さんは体格もよくて健康的なので、しっかりと役作りをしなければリアリティが出せないんじゃないかと。ここから病が深まっていくことを考えながら、身体をしっかり作って準備されていました」
一方で、「撮影時以外はとても元気です」とファンを安堵させ、「読書されていることも多いですが、あえて暗い雰囲気で過ごすようなことはなく、前室でもみんなと明るくお喋りしながら楽しんでいらっしゃいました。最後まで、大阪言葉の確認をされていた姿も印象的です」と現場での様子を明かした。