ベルリン国際映画祭2冠 ノラ・フィングシャイト監督作『システム・クラッシャー』公開へ

 ノラ・フィングシャイトの長編初監督作『Systemsprenger(原題)』が、『システム・クラッシャー』の邦題で4月27日より全国順次公開されることが決定した。

 Netflix映画『消えない罪』のフィングシャイトが監督・脚本を務めた本作は、社会のどこにも居場所のなくなってしまった9歳の少女を描いた人間ドラマ。フィングシャイト監督はホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中、初めて“システム・クラッシャー”と呼ばれる子供がいることを知ったことから、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者と綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化した。

 第69回べルリン国際映画祭のワールドプレミア上映で約10分間のスタンディングオベーションを受け、銀熊賞(アルフレード・バウアー賞)とベルリナー・モルゲンポスト紙読者審査員賞の2冠を受賞。その後も2020年ドイツ映画賞では、作品賞、監督賞、脚本賞、俳優賞、女優賞を含む8部門を受賞。さらに、第92回アカデミー国際長編映画賞ドイツ代表作品に選出されるなど、世界各国で37冠(&26のノミネート)に輝いた。2019年9月に劇場公開されたツ本国ドイでは、観客動員数20万人突破のヒットを記録。日本では、EUフィルムデーズ 2021、ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021で上映されている。

 9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化してしまう。その怒りようといったら烈火のごとく、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されてしまう。そんなベニーの願いは、ひとつ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付け続ける。このままでは何処にも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの2人きり森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が……。

 ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、2008年生まれの現在15歳。撮影当時は10歳という若さで、2020年ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞する快挙を成し遂げた。本作出演後、Netflix映画『この茫漠たる荒野で』にも出演し、第78回ゴールデングローブ賞の助演女優賞にノミネートされた。

 そのほか、Netflix映画『西部戦線異状なし』のアルブレヒト・シュッフがベニーの救いの鍵を握るトレーナー・ミヒャ役、ガブリエラ=マリア・シュマイデがベニーを担当するソーシャルワーカー役で出演している。

映画『システム・クラッシャー』特報映像

 あわせて公開された特報映像は、叫んだりものを投げつけたりと、施設で好き放題暴れるベニー(へレナ・ツェンゲル)の様子から始まる。また、山小屋で3週間の隔離療法を行うベニーと非暴力トレーナーのミヒャ(アルブレヒト・シュッフ)の姿も確認できる。

 何かを見つめるベニー(へレナ・ツェンゲル)の表情がアップで切り取られたティザービジュアルも公開された。

■公開情報
『システム・クラッシャー』
4月27日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本:ノラ・フィングシャイト
撮影:ユヌス・ロイ・イメール
音楽:ジョン・ギュルトラー
出演:ヘレナ・ツェンゲル、アルブレヒト・シュッフ、リザ・ハーグマイスター、ガブリエラ=マリア・シュマイデ
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション
配給:クレプスキュール フィルム
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/125分/ビスタ/原題:Systemsprenger /英題:System Crasher/日本語字幕:上條葉月
©2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF
公式サイト:http://crasher.crepuscule-films.com

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