『ゼイチョー』饗庭×相楽の最強タッグが誕生 本郷奏多が言葉足らずで不器用な役を好演

 “みゆきの市に相楽あり”と言われたその2者の、持ちつ持たれつのいびつな関係性が暴かれた『ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜』(日本テレビ系)最終話。

 自身の父親で、相楽グループ会長・耕史郎(板尾創路)の指示で横行している「徴税禁止リスト」の存在や、不正を白日のもとに晒すこと。そして、その不正に関与してしまい思い詰めた先に、屋上から飛び降りてしまった財務省時代の同期・奥林(結木滉星)の無念を晴らすためにみゆきの市にやってきた相楽(本郷奏多)が、全ての事情を饗庭(菊池風磨)に打ち明ける。ついに財務省時代の元同期が手を取り合って協力し合う、最強タッグが始動したのだ。

 最終話寸前まで敵か味方かわからぬような立ち振る舞いで、父親のことを欺き、“敵を欺くには味方から”と言わんばかりに、饗庭にもずっと奥林との間に何があったのか沈黙を貫き通した相楽。そんな相楽役に本郷奏多は適任だっただろう。朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)でも3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)と最悪な出会いを果たすも互いに次第に惹かれ合う相手役・五十嵐を好演。不器用ながらも一生懸命で、なかなか周囲に弱みを打ち明けられない、言葉足らずだが憎めない役どころを体現した(ちなみにそんな本郷は2024年もNHK大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)で花山天皇役を務め、『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)では恋愛が苦手で不器用なアラサー男性役を演じることが発表されており楽しみだ)。

 本作でも、かなりハイテンションで随所に顔芸を盛り込み、声を張り上げふざけ倒す愛嬌たっぷりな菊池風磨扮する饗庭と、いつでもポーカーフェイスでテンションを一定に保ち続ける相楽という2人の対照的なキャラクターを際立たせていた本郷。そして、一見したところ正反対かに見える彼らの間にある、それぞれの正義の通し方や公務員としての矜持の共通点も見せてくれた。なんだかんだ相楽は誰よりも饗庭のことを信頼しており、国をも巻き込む巨悪な父親の企てを阻止できる可能性を、饗庭や百目鬼(山田杏奈)らの徹底した仕事ぶりにのみ見出していたのだろうことが、言葉にせずとも伝わってきた。さらに、何かと饗庭ら徴税第三係と敵対しているかに見えた徴税第一係長・日比野(石田ひかり)も、実際には相楽の味方で、「徴税禁止リスト」の追求に協力していたことがわかった。

 脱税の逃れられない証拠を突きつけられた耕史郎が言い放つ開き直りはあんまりではあったものの、現実社会でそう思いたくもなってしまう事件が相次いでいることに、また何とも言えない気持ちになってしまった。

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