劇団ひとり×真木よう子×門脇麦にとってアドリブ劇とは 『横道ドラゴン』の壮絶な裏側語る

 動画配信サービス「DMM TV」にて、8月11日より配信がスタートしたバラエティコンテンツ『横道ドラゴン』。劇団ひとり、真木よう子、門脇麦がメインキャストを務める本作は、刑事サスペンスでありながら、捜査シーンは全編台本なし。出演者のアドリブが物語を動かす新感覚サスペンスとなっている。

 企画・総合演出は、『有吉の壁』(日本テレビ系)や『マツコ会議』(日本テレビ系)などのヒット番組を担当した橋本和明、脚本は映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』日本語吹替版の台本を手がけたヨーロッパ企画の上田誠がそれぞれ担当している。多彩なクリエイター陣が集結し実現した、先の読めない一発勝負のバトルロワイヤル。本インタビューでは、数々のアドリブ撮影を乗り越え、不思議な結束感を感じるメインキャストの3名に、本作の撮影を振り返ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

壮絶すぎるアドリブシーンの裏側

ーー全6話で構成される刑事ドラマかと思いきや、物語の鍵を握る重要シーンは全てアドリブ。誰も結末が分からないまま撮影が進んでいったかと思いますが、みなさんどういう心境で現場入りされたんでしょうか?

劇団ひとり(以下、ひとり):僕が演じた反田龍児は、失踪した妻がいる設定のアウトロー刑事という役柄でしたけど、実際は、役作りも何もできなかったです。カメラが回って、ドアを開けて、初めて現場のセットを見るわけですから(笑)。ゲストがどこで出てくるかも、ワンシーンで何人出てくるかも分からない。本当に何も分からない状態からいきなり撮影が始まるんです。僕個人の心境としては、すごくワクワクしていました。これまで何度もアドリブ劇みたいなものはやってきているので、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなってきたというか。今回は、スタッフのみなさんが、本当に事前情報のない環境を作ってくださったので、毎回楽しかったですね。2人はどうか分かりませんが……。

真木よう子(以下、真木):私が演じた由良歩には、龍児のことが好きだという設定があったのですが、アドリブシーンの撮影中は、役を演じている感覚ではなかったですね。とんでもないフリをたくさんされたものですから、役なんて言っている場合じゃなかったです。今までにないくらい、素で困っている表情が出ている作品になったと思います。

門脇麦(以下、門脇):私なんて、目隠しで縛られた状態から撮影が始まったんですよ!? 余計にドキドキしました。しかも、物語の中盤から登場する役だったので、既にみなさんが散らかした設定の中に入っていかなきゃならなくて。「ここまで来たらやるしかない」と思いつつ、内心、めちゃくちゃ緊張していましたね。

ーーみなさんの感想がアドリブシーンの壮絶さを物語っていますね(笑)。

ひとり:刑事という立場上、アドリブシーンとはいえ捜査(物語)を進めていかなきゃならないのに、ゲストのみなさんの無茶なアドリブのせいで、僕が考えていた構想は全て壊されました(笑)。みんな好き勝手やっていくんだけど、僕ら3人は、そのアドリブによって生まれた設定を背負ったまま、次のアドリブシーンに突入していかなきゃならないんです。もう、めちゃくちゃでしたよ!

劇団ひとり

門脇:どのシーンも、だいたい40分ほどぶっ続けで回していましたもんね。当然ながら、一発勝負で録り直しもできないですし。本当に大変でした。

ひとり:面白いから40分回しているんじゃないですよ? 苦しいから長回しになっているんです(笑)。最終的に使われているアドリブシーンは、どうにか作品として世に出せそうな一部分だけ。全体の2分の1……、いや、3分の1しか使われていないんじゃ? というウワサも耳にしました。

ーーアドリブシーンを重ねるごとに結束力が生まれる、なんてことは?

ひとり:いやー、何回やっても慣れないですね。シチュエーションも違えば、出てくるゲストも違いますから。僕ら3人だけじゃなく、ゲストの方も、漏れなくみんな傷ついて帰られたと思いますよ。僕、気付いたら帰り道の車の中で「ウワーッ」って叫びながらハンドルを握っていましたもん。もう早く忘れたいっすよ。あんなに惨めな自分の姿は(笑)。

真木:結束力どころか、アドリブシーンの中で私が死にかける場面があるんですけど、ひとりさんが絶対に死なせてくれなくて。

ひとり:そりゃあ、先に死なれるわけにはいかないじゃないですか! 絶対に最後まで巻き込まなきゃ気が済まない。とにかく目を覚まさせようと、口の中に指まで突っ込んだりして(笑)。それでも目を覚まさないんですよ、この人!!

真木:絶対に目を開けてやるものか! 生き返らないぞ、私は! って(笑)。

真木よう子

ーーアハハ。本当に何でもアリですね。

門脇:本気の攻防でしたよね。実際、「どこまで粘るべきか?」という迷いとは常に戦っていました。自分が面白いと思う方向に進んでいきたいけど、誰もついてきてくれない。でも、簡単に引き下がるわけには……みたいな(笑)。そういう私たちの葛藤までもが見られるという意味では、ある種、ドキュメンタリーでもありますよね。

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