『ハヤブサ消防団』放火犯は消防団の中にいる? 古川雄大の怪演がミスリードを誘う

 まだ詳細ははっきりとしていないが、真鍋は事件と何かしらで関係していると見られる。5人の中の誰かが真鍋から指示を受けて放火したのかもしれない、というのは太郎の推理の一つである。自らが火事の被害に遭っている賢作、さらに火事の通報があった際に太郎と一緒にいた勘介はアリバイがあるとも言えそうだが……。また、太郎の家が狙われた放火場の近くに落ちていたベンジン。そこから発想されるのは呉服店を営む省吾であるが、これだけでは犯人と断定はできない。太郎の推理力であれば、当然そんなことは思い浮かんでいるだろう。

 であれば、勘介の車に太郎が乗り込み、「居酒屋サンカク」に向かってからのシーンに犯人を突き止めるヒントが隠されているのかもしれない。しかし、そういった視点で彼らを見る時がくるなんて。勘介が着ている「フィーバー」のTシャツから、もはや全てが怪しく思えてくる。それは今に始まったことではないが、住職の江西佑空(麿赤兒)とアイコンタクトを交わす太郎の神妙な表情がそのことをより強く表している。

 しかし、ここまで明らかな異彩を放っていた真鍋を演じる古川雄大のミスリードを誘う演技が素晴らしい。こうしたドラマにおいて、真犯人と特定された人物が狂気的な表情を見せると、多くの場合それは“怪演”と言われるが、「怪しい」という意味では、これこそが真の “怪演”という表現がぴったりくる。

 次回、第7話では東京で開かれた太郎のサイン会の会場で、連続放火犯の名が明かされる。そして、そこには並行して描かれているアビゲイル騎士団が交わっていく予感がしている。

■放送情報
『ハヤブサ消防団』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:中村倫也、川口春奈、満島真之介、古川雄大、岡部たかし、梶原善、橋本じゅん、山本耕史、生瀬勝久、麿赤兒、村岡希美、小林涼子、金田明夫、大和田獏
原作:池井戸潤『ハヤブサ消防団』(集英社)
脚本:香坂隆史
演出:常廣丈太(テレビ朝日)、山本大輔(アズバーズ)ほか
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日

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