“白い拷問”で狂気的にチェスにのめり込む 『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』新本編映像

 7月21日に公開される『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』の新本編映像が公開された。

 本作は、オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの『チェスの話』を映画化したサスペンス。1933年にヒトラーがドイツの首相に就任し、オーストリアにも反ユダヤ主義が広まったことから、ユダヤ人のツヴァイクは、1934年にイギリスへ亡命する。その後も場所を転々とし、1942年に本作を書いた。しかし、完成した直後に自殺を選んだために、これが最後の小説となった。ツヴァイク自身と重なる本作の主人公が、極限状況の中、心身を病みながらも、何とか生き延びようとする姿が描かれている。

 ある日突然ナチスの秘密国家警察(ゲシュタポ)に拘束され、ホテルの一室に監禁されたヨーゼフ(オリヴァー・マスッチ)。部屋には最低限の家具が置いてあるだけで、外の世界から完全に隔離された空間だ。フィリップ・シュテルツェル監督やゲシュタポを演じたアルブレヒト・シュッヘはインタビューにおいて、このような何もない空間で何もせず、ただ拘束し続けることを「白い拷問」と呼んでいる。そんな環境で、なんとか正気を保とうとするヨーゼフだが、次第に精神が耐えられなくなっていくのだった。

映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』本編映像(チェス編)

 そんなある日、彼は偶然チェス本を手にする。その一冊の本が彼の精神を支えるきっかけとなった。公開された本編映像では、ヨーゼフがチェスの世界にのめり込んでいく姿が映し出されている。何カ月間もひとりでホテルの部屋に放置され続け、会話や活字に飢えていたヨーゼフは、今まで興味もなかったチェスの世界に没頭していく。ひたすらにチェスの棋譜をつぶやきながら、チェス盤に見立てた風呂場のタイルと自作の駒で、ひとり対局を行う。彼は一体いつまで正気を保ち続けられるのか。

■公開情報
『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』
7月21日(金)シネマート新宿ほか全国ロードショー
監督:フィリッブ・シュテルツェル
原案:シュテファン・ツヴァイク
出演:オリヴァー・マスッチ、アルブレヒト・シュッへ、ビルギット・ミニヒマイアー
配給:キノフィルムズ
提供:木下グルーブ
公式サイト:royalgame-movie.jp
2021/ドイツ/ドイツ語/112分/カラー/5.1ch/シネマスコーブ/原題:Schachnovelle/G/字幕翻訳:川岸史
©2021 WALKER+WORM FILM, DOR FILM, STUDIOCANAL FILM, ARD DEGETO, BAYERISCHER RUNDFUNK 

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