『VIVANT』堺雅人演じる乃木の特異なキャラクター タイトル“ヴィヴァン”との関係は?

「お前がヴィヴァンか? ヴィヴァンなんだろ」

 現実逃避するなら多少荒唐無稽なほうがいい。せっかく日曜の夜に観るんだから、壮大なスペクタクルで非日常を味わいたい。そう考えるに人に日曜劇場『VIVANT』(TBS系)は最高の題材を提供してくれる。

 謎に包まれたストーリーの全貌。先行してスーツ姿の堺雅人が砂漠をさまよう映像が公開され、キャスト、撮影隊が総出で海外ロケを断行するなど、断片的な情報だけでも、これまでにないスケールで製作が進んでいることが伝わってきた。実際に蓋を開けると、私たちが想像する日曜劇場からかけ離れたスリリングな作風が全編にわたって展開された。

 出だしは比較的穏当だった。丸菱商事でエネルギー事業を担当する乃木憂助(堺雅人)は、誤送金した1億ドルを取り戻しに中央アジアのバルカ共和国へ向かう。1億ドルの行方を追ううちに砂漠に置き去りにされた乃木は、アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)とジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)親子に助けられるが、爆発事件に巻き込まれる。公安部外事第4課の野崎守(阿部寛)と医師の柚木薫(二階堂ふみ)とともに入院先の病院を脱出した乃木だったが、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)が執拗に乃木を追跡し……。

 まず最初に思いきって日本を飛び出したその意欲を買いたい。演出の福澤克雄監督自ら「これまでにない規模の海外ロケを敢行しようと決めたのは、ドラマ上で起こる大きな出来事を表現するため。日本ではなく、どうしても海外の景色が必要だった」(参考:『VIVANT』の見どころは? 監督が目指したのは「あっという間に観ることができるドラマ」)と語ったように、国外に舞台を設定することで非日常感やスペクタクルが生まれた。

 そこで繰り広げられるのは、国境を超えた世界規模の犯罪や陰謀、異文化との衝突だ。発端こそ企業内のトラブルでも、日本を離れることによって物語の可能性やスケール感が飛躍的に向上する。バルカ共和国が架空の国であることを差し引いても、テロリスト、CIAなどの言葉が飛び交う第1話では、銃撃やカークラッシュ、乗馬をはじめ海外ロケだからこそ可能なシーンがふんだんに盛り込まれ、画作りに説得力があった。

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