2023年は森七菜の時代になる 月9初主演『真夏のシンデレラ』で演技の価値観を覆すか
森が俳優として抜きん出ているのは、彼女の演技の瑞々しさにある。演じる役どころではなく、演技そのものが、である。ふつう瑞々しさというものは、経験とともに失われていく。仕組みを知り、技術を学べば、誰もが「新人」ではなくなっていくものだ。これはどんな業種だって同じ。新鮮な心持ちで挑むことは何事においても重要なのだろうが、いつまでも「新人」のような振る舞いをしていると周囲は不安になる。「新人」とは何を起こすか分からない存在だ。しかしこれは「ポテンシャルが未知数」とも言い換えられるだろう。そこで生み出されるスリルこそが、観る者を未知の領域へと誘う。森の演技にはつねにこれが感じられ、どの作品も彼女のデビュー作のように思えてしまうのだ。
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こう感じてしまう理由の一つは、彼女の発話法にある。セリフを発する際の滑舌の調子や抑揚のことだ。滑舌の良し悪しというのは俳優にとって重要な問題である。聞き取りづらい言葉は、伝えるべき情報を伝え損なってしまうかもしれないのだから。けれども私たちは日常的に、そんなに滑舌に気を配って会話をすることはないだろう。抑揚に関しても同じ。日常会話とバラエティ番組内で交わされるやり取りはまったく違う。むしろ、「え、何て言ったの?」と聞き返すことばかりだ。森の発話はこの絶妙なラインをつねにたどる。言い換えるならば非常にリアルなのである。だから私たちは「え?」と彼女の発言に注意を向ける。ここでは画面越しに、生まれるはずのない“相互コミュニケーション”が成立しているのだ。
かつて1990年代に浅野忠信が映画界に登場した際、“演技法/演技論”というものに革命を起こした。スクリーンという特別な世界の中に存在しながら、彼は肩肘を張らずに私たちと同じように言葉を口にしていたのだ。だからその存在を身近に感じることができる。森の演技には浅野のようなポテンシャルを感じるのだ。彼女はもしかするとこの時代における演技の価値観を覆すかもしれない。それは完全に俳優・森七菜の時代の到来を意味しているだろう。さて、「月9」という大衆の耳目を集める場で、彼女はどのような存在となるのだろうか。
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■放送情報
『真夏のシンデレラ』
フジテレビ系にて、7月10日(月)スタート 毎週月曜21:00~21:54放送
※初回30分拡大 21:00~22:24放送
出演:森七菜、間宮祥太朗、神尾楓珠、吉川愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司、大西利空、森崎ウィン、桜井ユキ(友情出演)、山口智充ほか
脚本:市東さやか
演出・監督:田中亮
プロデュース:中野利幸
制作・著作:フジテレビジョン
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