大切な人との出会いは恋人や愛する人とは限らない。『カムカムエヴリバディ』（NHK総合）が描いたのは、幻想的な父子の対面だ。おりしも終戦記念日に、るい（深津絵里）は父の稔（松村北斗）と対面を果たす。これは、るいにとって言わば母親のお腹の中にいたとき以来の再会ということになる。神社の境内でるいがふと横を見ると、そこには自分が生まれる前に戦死したはずの稔の姿が。白軍服姿がまぶしい稔は、慈愛に満ちた瞳でるいに語りかけた。「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも、自由に聞ける。自由に演奏できる……」「るい、お前はそんな世界を生きとるよ」という稔の優しい瞳にほんの少しの切なさが混じり、何度観ても涙なしには観られない。

　『なつぞら』（NHK総合）が描いたのは、生き別れになった姉妹の再会。戦災孤児のなつ（広瀬すず）が作ったアニメがテレビで放送されたことで生き別れの妹・千遥（清原果耶）に存在を見つけてもらえたという展開がドラマチックだ。大きな目から涙をぽろぽろとこぼしながら「来てくれて、ありがとう」と嚙みしめるように話すなつの姿が印象的だった。

　寿恵子との再会を果たした万太郎だが、このまま順風満帆に関係を育むというわけでもなさそうだ。「まだ、いかん。まだ、わしは何者でもない」と自分について語る万太郎だけに、自分自身に納得する日がくるまで進展はないのだろうか。そして寿恵子にはどうやら「玉のこしにのれるかもしれない」話が持ち上がっているようだ。どちらも好きなことにのめり込むタイプで、ほがらかな2人だからこそ、明るく楽しそうに笑いあう姿をたくさん見せてほしい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回（全26週）】
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
出演：神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作：長田育恵
語り：宮﨑あおい
音楽：阿部海太郎
主題歌：あいみょん
制作統括：松川博敬
プロデューサー：板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出：渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供＝NHK