ŹOOĻは影から見る光の眩しさを知っている 『アイドリッシュセブン』で巻き起こした革命

 ダメだと思えば思うほど、その人の沼にハマってしまうのは、恋愛でもよくあることだ。刺激的で色気溢れるバッドガイズたちの魅力は挙げれば尽きない。

 TVアニメ『アイドリッシュセブン Third BEAT!』では、そんな危険な香り漂うイケメンアイドルに出会える。これまでにも多種多様なアイドルたちが登場してきた『アイドリッシュセブン』シリーズだが、今作ではツクモプロダクション所属の新アイドルグループŹOOĻ(ズール)が登場。「狂気と破壊の、テトラルキア」をグループキャッチに掲げ、他人に媚びない妖しい魅力を炸裂させている。

『アイドリッシュセブン』はアイドル像を縛らない “人間性”を大切にしたその魅力

秋アニメの注目作としても名前が挙げられる、TVアニメ『アイドリッシュセブン Third BEAT!』が現在放送中だ。スマホ向けア…

 ŹOOĻは、特に原作のファンからは“推し変”に揺らいだ経験がある人も多いほど、熱狂的な人気を誇るグループ。アニメでも登場以後、ツクモを代表する絶対的なヒールとして君臨し、彼らの本領発揮は次期に繰り越されるのではないかというところだ。

 しかし、少しずつではあるがŹOOĻのメンバーのパーソナリティが見えてきているのも事実。MOPのステージをIDOLiSH7とTRIGGERが華々しく飾る形で幕を閉じた本作で、ŹOOĻが残した爪痕について考えていく。

悪役から「悪カワイイ」存在へ

 IDOLiSH7やTRIGGERを苦しめる悪役ポジションなのに、なぜか気になってしまう。ŹOOĻの魅力に「気がついてしまった」ファンは後を絶たない。その理由の1つは、彼らが不意に見せる“悪カワイイ”ギャップ。『アイドリッシュセブン Third BEAT!』はその描き方も丁寧だ。

【BĻACK OR WHiTE】『Bang!Bang!Bang!/ŹOOĻ』MV FULL

 特に第29話と第30話は、これまでのŹOOĻとは一味違う、彼らの新しい表情を引き出すエピソードとなった。第29話では、月雲了(CV:高橋広樹)のヤラセ計画を狗丸トウマ(CV:木村昴)が百(CV:保志総一朗)に打ち明ける。ŹOOĻを使い捨てのグループだと考えている他メンバーとも、きちんと打ち解けようとするトウマの“いい奴さ”がはっきりと明るみに出た。

 ただ驚くべきは今までもŹOOĻの良心として動いてきたトウマの行動よりも、普段は俺様キャラな御堂虎於(CV:近藤隆)が見せる、育ちの良さゆえの常識人な一面だろう。鬼気迫る千(CV:立花慎之介)の謎理論に言いくるめられ「ほ……法律は普通に大事だろ……」と若干尻込みする場面は、なんとも微笑ましい。

 さらに、会話中の弁護士という共通ワードから画面が切り替わり、いつもは温和な棗巳波(CV:西山宏太朗)と鏡合わせのようにキャラクターの対称性が際立つ演出にも拍手を送りたい。

 第30話では、観客が待つステージに立つことへの強い想いを零したトウマ。そんなトウマに、虎於は何かを感じた表情を見せる。ラスト2話の辛そうなトウマの心情に、無自覚にもそっと虎於が寄り添う。

関連記事