『NARUTO THE GALLERY』特別対談

NON STYLE 井上×四千頭身が『NARUTO』を語り尽くす サスケは「俺なら救わない(笑)」

『NARUTO』のキーポイントは“サスケ”

ーーアニメ『NARUTO』でいちばん印象に残っているシーンは?

石橋:第四次忍界大戦のときのアスマ班のエピソードですね。穢土転生の術でアスマ先生が生き返って、それを“猪鹿蝶トリオ”が仕留めるというところが好きですし、もっと遡るとシカマルがアスマ先生の仇をとるところですね。敵の飛弾を、最後にアスマ先生のタバコで仕留めるところが最高です。

後藤:自分はいま中忍試験が始まるあたりを観ていますが、結構"死に演出”が多いですよね。

都築:最初は確かにそうかもしれない。再不斬戦あたりとか多い(笑)。

後藤:死に演出でエピソードが終わることも結構あるんですよね。血が出て、「カカシ先生!」って叫んで、すぐにエンディングに入るから「えっ!」ってなります。「でも生きているもんな」みたいな期待を込めて観ているんですけど。その終わり方だと確実に死んでいるはずなのに、「どうやって(攻撃を)避けた?」って、生きているのを知っているからこそのワクワクがあります。

都築:そうだよね、知ってるもんね、どう考えても死んでいないはずだってことは。

後藤:そうそう。そういう場面があると「どうせ生きているんでしょうね」って態度で観ているので、本当に誰かが死んだときにちょっとメンタル壊れそう……。

後藤拓実

都築:でも敵のことをちゃんと殺して終わる作品ってあんまりなくないですか?

井上:そうね、止めを刺すのは珍しいね。

都築:この世代の作品では珍しい気がします。僕的に印象的だったのは、やっぱりサスケですね。作品を一通り観て、暁のメンバーをはじめとして魅力的なキャラがいっぱいいますが、結局サスケに落ち着いちゃって。カッコいいんですよ。でも、全編を通したら全然勝負に勝ってないんですよ。シナリオの中で勝率を出したら負けている数の方が多いんです、あの感じなのに。意外と弱いやつなんですよ。

石橋:戦っている相手が強すぎるんだよね。

石橋遼大

都築:そう。「この目は闇をよく見る」とかよくわかんないこと言うんですけど、まあ闇がよく見えているんでしょうね。でも闇以外のことが何も見えていないんですよ、基本的に。あそこまでまっすぐな闇落ち系のキャラって後にも先にもあんまり出て来ないんじゃないかなって。全力闇落ち系男子ですね。

井上:なかなか帰って来ないもんね。

都築:本当にずっと闇堕ち!

井上:だから後藤、あとちょっとアニメ観進めたらサスケとお別れだよ。

後藤:ええっ。

都築:闇堕ちしてからはサスケは何も見えていない。みんなが客観的に「サスケ、それ以上はダメだ」とか、「サスケ、今は絶対違う」ってアドバイスするのに、自分のやりたいことしか見えてないから。

井上:サスケがそのタイプでなかったら『NARUTO』は20巻で終わっているからね。

一同:(笑)

都築:そう、もうサスケ次第だから。

井上:サスケが余計なことするんだよ(笑)。

都築:後藤、いま観てるの『NARUTO』でしょ? 後半『SASUKE』だから。

後藤:サクラは?

井上:サクラも余計なことする。サスケを助けに行こうとしたりね。ちゃんとやってるのはナルトなんだよ。

後藤:ナルトが実はあの中でいちばん大人。冷静なの。サスケはカッコつけて飛び込んで、結果死にそうになるから。

都築拓紀

ーーみなさん、自分の身近でサスケが闇堕ちしたらどうしますか?

井上:俺だったらサスケは救わないです。

石橋:抜け忍ですからね。

井上:うん。あいつが勝手に力を求めてどこか行ったのに、なんで助けないとあかんねんって(笑)。

都築:友達やめますもんね(笑)。

井上:あいつが「友達やめる」って出て行ったからな。木ノ葉隠れの人たちが本当にいい人たちばかりで……あいつを助けるのに何人死んでると思ってるのか。

都築:本当ですよ。みんな動きますからね。

井上:まあ、そういうところですよ。結局、多数を助けるのか、少数を助けるのか。いろんな議論はあると思いますが、一度同じ場所で生まれたらもうそれは家族。家族だから助けるという愛情があるのがナルトですからね。

都築:全員が同じモチベーションになるのがすごいですよね。火影がそう言ってみんなも同意できるんだから。

井上:うん。結果、忍界大戦で何千人もの人が動いているじゃないですか。あれの大元はサスケよ。

都築:サスケが招いていますからね。

井上:根本的にはイタチだけど。だから、うちは兄弟なんだよな。

都築:そう、だから最後は『UCHIHA』になる(笑)。

井上:『NARUTO』、『SASUKE』、『UCHIHA』になる。

後藤:ナルト出ているんですよね(笑)?

(左から)井上裕介、都築拓紀、後藤拓実、石橋遼大

『NARUTO』は「人を育てる、全ての教科書」

井上:僕好きなシーンが二つあって、一つは中忍試験、テマリとシカマルが戦って、シカマルが「まいった」って言うシーン。勝ち切らない美学と言うか、負けの美学をシカマルが見せてくれた。

都築:あれで気づきますよね、シカマルの良さに。あのシーンでみんな一気に彼に惚れる。

後藤:今のところ(中忍試験前)は不真面目なキャラだよね。

井上:そう。だから、中忍試験以降、シカマルはめっちゃ人気出んねん。あと、僕が好きなのはネジの「また一羽見えなかった」っていうシーン。だから、両方負けのシーンなんですよね。敗者にも美学があるという、勝っているだけじゃない『NARUTO』の世界観が好きです。能力としてはネジの方が高いんだけど、ガッツに関してはナルトに勝てなかった。あのネジの雰囲気とかね、結局天才なんだけど生きてきた環境が悪かったなとか、そういう人もお笑い界にいるだろうし。

都築:激っているときのネジが好きなんですよね。「日向こそ最強の一族だ」って言ってメラメラしているとき。

井上:あれもでも、親子でちゃんと話し合いしてないからだけやで。

都築:そうですよね、家族の問題ですからね。

井上:本当にもう、火の国はねえ、ちゃんとみんな話し合いしていればいい国なのよ。ネジも自分の親父が殺されちゃったと思っているから。まあ、そんな『NARUTO』から学んだことは、ナルトのセリフそのものになりますが、「俺が諦めることを諦めろ」です。あれが全てですよね。結局俺らはお笑いという仕事やっていますが、「こうなったら終了」ってゴールがないから、笑いをとることを諦めずにただ頑張っているだけなんです。だから、「諦めないことを諦めろ」って思える人間にはなろうと思いましたね。

井上裕介

都築:いまの時代はね、アンチコメントとかね。「お前辞めろ」って言われることもありますが、「俺が辞めることを諦めろ」って話ですからね。

井上:そうそう。

ーーいまの10代は『NARUTO』がリアルタイム世代ではない分、知らない人も多いと思います。改めて、今の『ジャンプ』世代にアニメ『NARUTO』を勧めるとしたら?

後藤:教育として見せた方がいいと思います。ナルトの考え方って素敵なので。

都築:今の『呪術廻戦』とか『僕のヒーローアカデミア』とかも『NARUTO』の派生っぽいと考えてます。『ONE PIECE』系の漫画は少ないけど、『NARUTO』は多いイメージですよね。同期がいて、チームがいて、誰かが離れたりする……みたいな。

石橋:諦めないで、根性でやり抜くとか。

井上:でもいまの若い子は長い時間をかけて一つの作品を視聴し続ける機会って少ないじゃないですか。そういう意味では、いまの子が全話観るのは大変やと思います。どうしても話数が多いから根気がいる。700話くらいあるし、アニメオリジナルストーリーもあるから。でも、一人の人間の人生を、生まれたところから見ると考えると、『NARUTO』は本当に名作やと思う。教育じゃないけど“人を育てる、全ての教科書”のように思います。

『NARUTO THE GALLERY』開催告知映像(30秒ver.)

■イベント情報
アニメ『NARUTO -ナルト-』20周年記念 NARUTO THE GALLERY
会期:2022年12月10日(土)~2023年1月31日(火)10:00~20:00(最終入場19:30)
会場:AKIBA_SQUARE(秋葉原UDX内)
入場券:2023年1月31日(火)18:30まで販売中
料金:中学生以上2,400円(税込)、小学生1,300円(税込)※未就学児無料
主催:NARUTO THE GALLERY実行委員会 
協賛:バンダイナムコエンターテインメント、バンダイ、BANDAI SPIRITS、メガハウス、ソニー・ミュージックエンタテインメント、アニプレックス、富士急ハイランド、ニジゲンノモリ
公式サイト:https://naruto-20th.jp 
公式Twitter:@naruto_20th

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