『舞いあがれ!』吉川晃司の学生に対する愛情があらわに “恋の乱気流”にはいつ気づく?

 「なぜパイロットを目指したのかを思い出せ」という大河内教官(吉川晃司)の言葉に不意をつかれた舞(福原遥)。『舞いあがれ!』(NHK総合)第51話では、その答えを見つけられずにいる舞がセカンド・ソロに出る。

 夢を追うものは、その過程で必ず理想と現実のギャップに苦しむ。同時に、夢を追う楽しさは次第につらさへと変わってしまう。舞もそうだ。

 大学時代、舞はまだ新入部員だったにもかかわらず、厳しいトレーニングと食事制限に耐え、パイロットとして人力飛行機を飛ばした。その時の楽しさが忘れられず、旅客機のパイロットを目指すことになった舞は航空学校の難関な試験を突破。そうした経験から得た舞の「努力は報われる」という思い込みは、「努力しても、パイロットになれない学生はいる」と同期の水島(佐野弘樹)をフェイルにした大河内教官に正されてしまう。そして、いつしかそんな教官を見返すことが舞の目的になってしまった。

 大河内教官に不信感を抱いていたのは、舞と同じチームの柏木(目黒蓮)も。「大河内教官は学生に興味がない」と柏木は舞に指導教官の変更を提案。だが、学生に愛情を持っていない教官が舞の着陸訓練に納得いくまで付き合ってくれたり、アイスを差し入れしてくれたり、悩みを聞き、それに対するアドバイスをくれたりするだろうか。表面的な分かりやすい優しさを見せないだけで、大河内教官は真剣に学生たちをプロのパイロットに育てようとしてくれているのではないか。そのことに気づき始めた舞は、このまま大河内教官の下で訓練を続けることを柏木に伝え、遅れを取り戻すことに集中する。

 そんな舞が次に挑むのは、2回目のソロフライト(=セカンド・ソロ)。柏木だけではなく、矢野(山崎紘菜)、中澤(濱正悟)、吉田(醍醐虎汰朗)の3人も予習に付き合ってくれることに。特に張り切っているのが、吉田だ。これまでも舞を気にするそぶりはあったが、そこに恋愛感情があるのかどうかはいまいち分からずにいた。

 しかし、ここにきて舞への恋心が溢れそうになっているのが、舞を見つめる憂いを帯びた瞳、とびきり優しい語りかけなど、演じる醍醐虎汰朗の巧みな心理表現により伝わってくる。それでも自分の気持ちを抑えながら、仲間として最大限に舞の力になろうとする吉田の健気さたるや。思わず告白してしまった柏木との違いがここに表れている。いずれにせよ、今の舞は退学を回避することに精一杯で、恋する余裕などない。吉田の恋心に気づかないばかりか、久留美(山下美月)から「あれからどうなった?」と連絡がくるまで柏木から告白されたこともすっかり忘れていた。自分が知らない間に三角関係、『あさイチ』(NHK総合)の博多華丸が言う“恋の乱気流”に巻き込まれていることに気づくのはまだ先になりそうだ。

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