山口智充、くわばたりえ、松尾諭、古舘寬治 『舞いあがれ!』個性豊かな東大阪の人々

 NHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』第2週の終わりに、舞(浅田芭路)が東大阪に帰ってきた。五島編では祖母・祥子(高畑淳子)や五島列島に暮らす人々が舞をあたたかく見守ってきたが、東大阪編もまた、さまざまな登場人物たちが舞の成長を見守る。

岩倉家のお隣さん、お好み焼き屋「うめづ」

 岩倉家の隣にあるお好み焼き屋「うめづ」の家族は、舞にとっても、舞の家族にとっても心強い存在といえる。

 「うめづ」の主人・勝(山口智充)は浩太(高橋克典)の幼なじみだ。山口の明るい笑顔が勝の人物像を印象づける。あたたかく大らかな人柄は息子・貴司(齋藤絢永)へも向けられる。「いっぱい食えよ、貴司」と貴司に山盛りのご飯を手渡す姿は日常の何気ない一場面なのだが、後述する貴司の舞への穏やかな接し方は勝の人となりからきているように思う。

 雪乃(くわばたりえ)はかなりチャキチャキした性格で、軽やかで明るい話し口とやや忙しない言動が魅力的な人物だ。雪乃はめぐみが心身ともに疲れ果てていることに気づき、浩太に「めぐみさん、今めちゃくちゃ疲れたまってる思うよ」と伝える。それぞれ家庭の事情があり、気づいても伝えにくいことがあるが、雪乃は浩太を呼び止めてはっきりと伝えている。お節介かもしれないがネガティブなものに感じられないのは、くわばたの演技を通じて、雪乃が心配性だが思いやり深い人物だと感じられるからだろう。

 梅津家の息子・貴司もまた、うさぎ小屋の前で1人座る舞を心配そうに見つめていたり、舞の気持ちを慮って「飼育係やりたいねんて」と声をかけたりと、自分の気持ちを抑えてしまう舞を常に気にかける。第9話で舞から手紙を受け取った貴司の、舞が元気でいることに安心しているような、でもどこか寂しそうな横顔が心に残る。第3週では貴司は古本屋で詩と出会い、また舞たちが成長するのに伴い、第4週から演者は齋藤から赤楚衛二へと変わる。齋藤はその眼差しで貴司の繊細な心情を表現していたが、心優しく、“「ふつう」になじめない性格”の貴司の心情を赤楚がどう表現するのか楽しみだ。

舞の親友・久留美が暮らす望月家

 大野さきは舞の親友となる久留美の幼少期を演じている。第1話で久留美は、うさぎ小屋の前にいた舞に「触ったらあかん」と注意する。はっきりとした声色、背筋の伸びた立ち姿は、自分の気持ちを抑えがちだった頃の舞とは対照的に映る。スミちゃんを見つけ出すまでは舞との間に少しだけ距離が感じられたが、舞に「ごめんな、走らせてしもて」と話す声はやわらかく、打ち解けた様子が伝わってくる。

 成長した久留美を演じるのは山下美月だ。人物紹介には“舞とは対照的に堅実な看護師の道を目指すようになる”とあるが、すでに大野の演技からは、おっとりした舞とは対照的な人物像が感じられる。堅実な道を歩む久留美を山下はどう演じるのだろうか。

 梅津家同様、望月家も、家族ぐるみで岩倉家と関わりを持つことが期待される。第3週では、初めて乗った飛行機に魅了された舞が貴司と久留美とともに模型飛行機づくりに没頭するのだが、模型飛行機を飛ばす彼らの後ろには、舞の父・浩太と久留美の父・望月佳晴(松尾諭)の姿が。元・実業団のラグビー選手で、けがをきっかけに失職し、職を転々としてきたという佳晴は、久留美や舞たちにどのような影響を与えるのかが気になる。

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