『SPY×FAMILY』が土曜夜に帰ってきた! 待望の第2クールを前に第1クールをおさらい
10月1日からテレビ東京ほかにて放送がスタートするTVアニメ『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』第2クール。
事前に公開された予告では、東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)の戦争を企てるテロ組織の男が登場し、険悪な雰囲気が流れている。平和だった1クールから一変して、彼らに何が起きたのか。オペレーション「梟(ストリクス)」は成功するのか?
物語の主人公であるロイド・フォージャーの実の顔は、西国の敏腕スパイ・黄昏。冷戦状態にある東西の戦争を阻止するべく、彼に課された任務は、通称オペレーション「梟(ストリクス)」。平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドに接触するため、偽物の家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校・イーデンの懇親会に潜入することがミッションである。
そこで家族になったのは、娘役のアーニャと、母親役のヨルだった。ロイドは父親として、2人と仮初めの家族を演じていく。
アーニャは孤児院出身で、ロイドと出会った時は身寄りがない存在だった。そして実は、相手の心を読むことができる超能力を持った人物。家族を望んでいたので、嬉しそうにロイドについて行く。
ヨルは市役所に勤めているが、実は裏で殺し屋としての仕事も請け負っていた。独身であることを理由にスパイを疑われることを恐れ、アーニャの母親役になることを快諾した。
本作で印象的だったのは、3人ともそれぞれ得意・不得意を持ち、補いあっているところだ。日頃、“己以外を信じない”ことを徹底し、1人で任務を遂行してきたロイドはスパイとしてはパーフェクトだった。だがその分、“家族”を信じて進めなければならないオペレーション「梟」は、ロイドにとっては難題だった。自分の意志ではどうにもならない子育てに苦戦しながら、徐々に心を許し、アーニャに任務を委ねていく。
最初はアーニャと手を繋ぐことさえ躊躇していた。対応もそっけなく、任務だから仕方なく関わっている様子だった。しかし、一緒に暮らすうちに情がわき、喜ばせたり、体を持ち上げたり、本心で褒めたりと、親心が芽生えるのであった。
一方でアーニャは、心を読めば本心が分かるため、相手を“信じる”行為が必要がなかった。相手が誰で、どんなことを考えているかを即座に把握し、その場に適した発言をしたり、行動をとったりする。勉強や運動が不得意で芸術的センスもないアーニャを見て、ロイドは焦っていた。だが、“相手の心を読める”超能力を使った結果、溺れていた子どもを発見し、命を救うことができたのだ。心を読んでロイドとヨルの夫婦仲が悪くなっていることを察知し、さりげなく言葉にすることもあった。学力や運動神経など“一般的な”親が期待する能力は持ち合わせていないが、誰かの命を救うような大事な能力は持ち合わせている。
妻役のヨルも、“一般的な”母親に期待されている力を持っていない。料理が苦手で、食材をダメにしたり、味付けが上手くいかなかったりと、失敗だらけだった。だが、ヨルはアーニャを守る強い力を持っている。アーニャが攫われたり、襲われそうになったりすると即座に駆けつけ、相手を懲らしめる。“強くてカッコいい はは好き”、“ははみたいになりたい!”と言われるほど、ヨルはアーニャにとって大切な母親だ。
人には得意・不得意があるのが当たり前で、不得意なことは、一緒にいる誰かがカバーできるのなら、それでいいと思わせてくれた。フォージャー家は、“こうでなければならない”という世間の抑圧から解放してくれるからこそ、多くの人が惹かれてしまうのであろう。個性も特技もバラバラな3人がこれからどんな困難に立ち向かい、オペレーション「梟」を遂行していくのか。
『SPY×FAMILY』のアニメ化に際し、世間を賑わせたのはかわいらしいアーニャの存在だ。好奇心旺盛でさまざまなことに関心を持ち、ちょこちょこと動き回る姿や、コロコロと変わる表情に目が離せなくなる。
「おでかけ」のことを「おでけけ」と言ったり、返事は「はい」ではなく「うぃ!」だったり。ちょっとした言い間違いやアーニャならではの表現にクスッとした人は多くいるはずだ。こうしたセリフを違和感なく表現するのは、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』でダイ役を演じた種﨑敦美。愛くるしい声も、アーニャが世間を魅了したポイントである。
また、アーニャが制服を着用したり、初めてステラを獲得したりした時の演出も印象的だ。ハートや星、エフェクトを出現させ、カメラのアングルを工夫したカットからは、制作陣側のこだわりを感じられた。作り手が一丸となって世間をトリコにしたアーニャ。第2クールではどんな表情が見られるのか、わくわくが止まらない。