『新・信長公記』小澤征悦の心を救いたい永瀬廉 西畑大吾演じる秀吉が重要なポジションに

 もしも、私が信長(永瀬廉)の立場だったら、こんなにも寛容に家康(小澤征悦)を受け入れることができただろうか。一度裏切られても、過去のことだからと水に流し、その人の“これから”を信じてあげることができるだろうか。

 苦しめられた分、仕返しをしてやろうと目論む人は、少数派かもしれない。でも、大抵は特進クラスの武将たちのように、「自業自得だ」と思ってしまうはずだ。あれだけ仲間を傷つけてきたのだから、ひとりぼっちになったって仕方がない。同じ目に遭ったって、放っておけばいい。ましてや、救いの手を差し伸べようとする人などいないだろう。

 だが、信長は違った。彼は、自分が持つ力を、誰かを傷つけたり貶めたりするためには使わない。それが、どんなに苦しめてきた相手であっても、同じように愛を持って接することができる。『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系/以下『新・信長公記』)第8話は、改めて信長の心の美しさを感じた回となった。

「俺たちは、日下部みやび(山田杏奈)、ならびに徳川家康を奪還する!」

 信長が掲げた目標に向かって、一つになる特進クラス。誰もが、持っている力を惜しまずに差し出し、まさに“One for all All for one”の精神で、みやびと家康の奪還に尽力していた。正直なところ、「家康を助けてあげる必要があるの?」とは思ったが、彼だけを見捨ててしまえば、“和の心”に反することになるのだろう。それに、信長は家康の身だけでなく、“心”を救ってあげたかったのかもしれない。彼が企てた奪還作戦も、家康の力がないと成り立たないものだった。

 信長の“賭け”は、一番最後の重要なポジションに、秀吉(西畑大吾)& 龍造寺(草野大成)の“弱々コンビ”を持ってきたこと。2人がやられている姿を見せることで、家康の心が動くと賭けたのだ。実際、信長が戦えば、ペリー、ジャンヌ・ダルク、始皇帝による“黒百合三将”を倒すことができたかもしれない。それでも、「鳴くまで待とう」と家康が行動を起こすのを待った。家康なら、仲間のために立ち上がってくれると信じて。“一人じゃないよ”、“居場所があるんだよ”と教えるために、信長はわざと戦わなかった。

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