『ちむどんどん』房子の言葉は暢子に届かないのか “反対”する人に耳を傾ける重要性

「新しい家族が増える。うちと和彦くんの赤ちゃんが生まれるんだよ」

 連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)第20週が幕を開け、暢子(黒島結菜)の妊娠が発覚した。お母さんになることにも“ちむどんどん”する暢子。しかし、現在の和彦(宮沢氷魚)は無職で、暢子は開業準備に追われている。

 子どもが生まれてくるのは、暢子のお店がオープンしてから半年後。つまり安静を要する妊娠期間中に多忙極まることが予想される。暢子は仕事と両立してみせるというが、予期せぬトラブルに見舞われる可能性も。当の本人たちに、全くそういう不安がなさそうなのが逆に心配だが、経営者の大先輩である房子(原田美枝子)が2人に現実的なアドバイスをしてくれて安心した。

 房子の提案は、一旦すべてを白紙に戻すというもの。厳しい意見ではあるかもしれないが、一度は辞めた暢子を雇い(しかも、身体にできるだけ負担のかからないデスクワーク)、産休まで取らせてくれるというのだから、この上なくありがたい申し出だ。しかし、お店の物件はすでに契約済み。延期するなら今の場所は諦めるか、それとも家賃を払い続けるしかない。

 どうしても独立を諦めきれない暢子は、自分を産んだ優子(仲間由紀恵)にも意見を求める。

「こんな時にお店もオープンしたいとか、欲張りなのかね」

 そんな暢子の台詞を聞いて、朝ドラ『エール』(NHK総合)で歌手を目指すヒロイン・音(二階堂ふみ)が主演舞台を控えている中で妊娠が発覚したことを思い出した。暢子と同じように両立を目指す音は周囲から「傲慢だ」と言われる。それでも音は負けじとギリギリまで頑張ったが、万全の状態で舞台に立てないことを理由に降板した。夢を叶えるのは“延期”にして、また機会を伺う。それも一つの選択だ。

 だけど、暢子の中ではきっともう答えは決まっているのだろう。優子は何があっても味方をしてくれると分かっていて、背中を押されたかったのだと思う。やはり優子の基本姿勢はまくとぅそーけーなんくるないさ。「真の事をしていれば、何とかなる」の精神で、暢子の諦めたくないという気持ちを受け止める。その上で、「反対する人の話にもちゃんと耳を傾けて」と付け加えるのが優子の柔軟さだ。

関連記事