『ちむどんどん』いつ観てる? 朝ドラが国民的コンテンツとして復活した背景

 朝ドラ(連続テレビ小説)は、日本でもっとも盛り上がっているドラマ枠だが、人気の大きな理由に、圧倒的な“観やすさ”があることは間違いないだろう。

 1話15分を月曜から金曜にかけて週5話(土曜日は総集編)を、2クール(半年)にかけて放送する朝ドラは、1日に何回も放送されているため、ライフスタイルに応じて好きな時間に楽しむことができる。

 NHK総合での本放送は8時から。昼の再放送は12時45分から。BSプレミアムでは、本放送が始まる前の7時30分から放送されている。今クールの『ちむどんどん』では放送されていないが、前クールの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』までは、夜の再放送も行われていた。つまり多い時で1日4回、朝ドラは放送されていたのだ。

 作品の消費形態も様々だ。朝ごはんを食べた後、仕事先に向かう準備をしている時に、時計代わりに観ている人もいれば、昼休みに仕事の息抜きとして楽しんでいる人もいる。一方で、隅から隅まで作品を観ている朝ドラファンとでも言うような視聴者もいて、気軽になんとなく観ても、真剣にじっくり観ても楽しめるのが、朝ドラの懐の広さだ。 

 後者の朝ドラファンの存在が可視化されたのはSNSの影響が大きいだろう。2010年上半期に放送された『ゲゲゲの女房』から朝ドラの放送は8時15分から8時スタートに変わったのだが、同じ頃、日本ではTwitterブームが起こりつつあった。作品の感想をリアルタイムでつぶやき、#(ハッシュタグ)で同じ話題を共有するというSNS消費がTwitterを中心に生まれ、中でも『ゲゲゲの女房』は、漫画家・水木しげるに焦点が当てられていたこともあってか、漫画家の反応が多く、感想のつぶやきだけでなく劇中のキャラクターのイラストをTwitterにあげることも多かった。

 つまり漫画やアニメにおける二次創作が朝ドラでおこなわれるようになり、SNSはリアルタイムで同じ作品を楽しむ一体感が味わえるバーチャルなお茶の間に姿を変えたのだ。

 こういった現象は他の作品でも起きていたが、朝ドラが突出してSNSとの相性が良かったのは、1日に何度も放送されていたからだろう。朝の放送で呟かれた感想を観て興味を持った人が、昼の再放送を観て感想をつぶやく。その感想を観た人が夜にBSで観るといった連鎖が起こっており、Twitterでのつぶやきが最大の宣伝効果を生み出していた。それが半年も続くのだからイベントとして盛り上がらないはずがない。

関連記事