『トイ・ストーリー3』ピクサーの精鋭が見せた本気の遊び心 感涙必至のラストシーンも

 子供の頃、あなたはオモチャたちとどんな毎日を送っていただろうか。ディズニー&ピクサーを代表する『トイ・ストーリー』は、そんな優しい問いを私たちに投げかけてくる作品だ。

 世界中で大ヒットしたシリーズ第1作から27年。西部イチのカウボーイ・ウッディや宇宙飛行士・バズらお馴染みの面々に新しい仲間も加わって繰り広げられる『トイ・ストーリー3』が『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送される。

 またも家の外へと飛び出すことになったウッディたちが大冒険をするお楽しみはそのままに、ウッディたちの持ち主であり今までオモチャたちとかけがえのない関係を築いてきたアンディが大学生に成長し、彼らとの別れを決意する姿が描かれた本作。これまでのシリーズを見守ってきたファンにとっては涙を禁じえない作品であり、シリーズの醍醐味である思わずくすっと笑ってしまうシーンの数々も見逃せない1作となっている。

 本作の魅力を一言でいうなら、なんといっても観客を楽しませる遊び心と、ピクサー&ディズニーの精鋭クリエイティブチームが練り出した「大人も子供も楽しめる」普遍的でありながらも意欲的な脚本だろう。オモチャたちが主人公、というところから人生観にまで到達する深みを帯びたストーリーは言わずもがな、まるで制作陣も童心に返っているかのようなエンディングのNGシーンは、「創る」という行為に遊び心が不可欠であることを思い出させてくれる。

 本作では新たなキャラクターたちも次々と登場する。ウッディたちがひょんなことから向かうことになったサニーサイド保育園で出会うオモチャたちがその最たる存在だ。イチゴの匂いがするピンクのクマ・ロッツォはストーリーが進むにつれその愛らしい外見からは想像のできない性格や壮絶な過去をあらわにするほか、バービー人形のケン&バービーはまさにファニーな本作の目玉的存在を担っている。ハイクオリティな洋服が登場当時に大ヒットした理由であることを踏まえて観ると尚更笑いがこみ上げてくる、ケンが所持している衣装を使ったファッションショーのシーンは見逃せない。

 他にも思わず笑ってしまうシーンとしては、堅物だが愛情深いキャラクターとして愛されているバズがスペイン語モードになってしまう場面がある。突如として流暢にスペイン語を話し始め、カウガールであるジェシーに熱烈なアピールを始める姿は、ファンが知っているバズとはかけ離れており、制作陣もそのギャップを見越して楽しんでいる様子が目に浮かぶ。ピクサー&ディズニーはいつでも楽しみながらクリエイトをし、その楽しさが観客や受け手に伝播している。だからこそ本当の意味でファンを喜ばせる作品づくりができるのだ。

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