『マイファミリー』飯田和孝Pに聞く作品作りの裏側 「役者の表情に嘘はない」

 いよいよ最終話を迎える日曜劇場『マイファミリー』。二宮和也、多部未華子、賀来賢人、濱田岳、玉木宏ら主役級キャストが勢揃いして描かれてきた本作が最後に明かす真相、そして伝えるメッセージとは。クランクアップ直後の飯田和孝プロデューサーに話を聞いた。(編集部)

選択肢はいくらでもある

――最終回直前ということで、第1話放送時とはまた違った緊張感があるのでは?

飯田和孝(以下、飯田):緊張はもちろんありますけど、まずは無事に事故なく撮影が終えられてよかったなと。あとはもうディレクターと我々で、みんなの思いを受け取って編集を進めるしかない、という感じですかね。

――クランクアップの雰囲気はいかがでしたか?

飯田:二宮さん、多部さん、友果ちゃん役の大島美優さんが一緒でしたが、すごく清々しかったです。最近は天気が良くない日が続いていたんですけど、奇跡的に晴れ間がのぞいたこともあって、「やりきった!」という感じがあったんじゃないかなと思います。みなさん笑顔でしたね。

――そもそものお話になりますが、今作はオリジナル脚本ということで、どのように物語が作られていったのでしょうか?

飯田:アイデアのベースや「どういうドラマにするか」というところはこちらで構築しますけど、「どういったストーリーにするか」というのは黒岩(勉)さんの初稿を土台にして。そこに、“テレビドラマ、日曜日、21時”で表現するときにはこういう方がいいんじゃないか、といったことを我々からも提案して、入れ込む作業をしていきました。

――脚本制作のペースはいかがでしたか?

飯田:速かったですね。ただ、やっぱり結末に向けた9話、10話は、ものすごく考えたと思います。オリジナル脚本なので、選択肢がいくらでもあるんですよね。たとえば、東堂(濱田岳)が逃亡しないパターンもあるだろうし、実咲ちゃん(凛美)が転落しないパターンもあるだろうし。本当に選択肢がありすぎるので、どれをチョイスしていけば“マイファミリー”になるのかをまずは黒岩さんが熟考して、そこから進めていった感じでした。

――とにかく展開がスピーディーで、友果ちゃん誘拐事件が解決してすぐに未知留(多部未華子)が妊娠するという流れにも驚きました。

飯田:もともと物語のラストは決めていたので、“父親になっていく温人”を描こうとしたときの1つのアイテムというか。障壁があることで未知留にも負荷がかかるし、「子どものためなら、親はなんだってする」と東堂が言っていましたけど、そういったところに返ってきやすいというのもありました。

ニヤッとした顔を入れない

――SNSでは、終始考察が盛り上がっていましたね。

飯田:僕らは冷静に分析する立場ですけど、キャストやスタッフたちのモチベーションに繋がったのは、すごく嬉しいことでした。犯人の考察が何通りもあって、それを目にしたときには「なるほどなぁ」とも思ったり(笑)。それによって作り方が変わることはないですけど、たとえばタブレットのクローバー(のシール)もADさんや美術さんが一つひとつ選んでいる。そういったところまで視聴者が興味を持って見てくれているんだと、スタッフ自身が感じられたことはすごくありがたかったです。

――「これが伏線なんじゃないか」「あれがヒントなんじゃないか」と考える視聴者が多い中、わざとらしく伏線を張ってもいけないし、唐突に出来事が起こってもいけない。そのバランスが難しそうです。

飯田:1つ決め事にしていたのは、全然そう思っていないのに、そう思っているように見える演技はさせないこと。つまり、怪しく見せるためにわざとニヤッとした顔を入れるようなことはしないと、監督とも脚本家とも話していました。去年の10月くらいに僕は韓国ドラマの『マイネーム:偽りと復讐』を観たんですけど、全然(犯人が)わからなくて。怪しくもなんともない人が、実は裏切っていたりする。あざとくないのにすごいなと思って、監督にもその話をしました。引っ張りたくなると、なんかちょっと足してみたりしがちなんですけど、そこは誠実にいこうと。役者の表情には嘘がない、すべて説明ができる表情になっています。

――撮影を通して、キャストのすごさを感じたシーンについて聞かせてください。

飯田:今回は、若手の中でも超一流の人たちが集まったのではないかなと思っていて。語弊があったら申し訳ないですけど、彼らがしているのは「自分をどう見せるか」という議論ではないんですよね。「このシーンで何を表現したいか」という演出の意図をしっかりと受け取って、そうするために「僕はこう行くよ」とか、「むしろこのセリフは言わないほうがいいかな」とか。二宮さん、多部さん、賀来さん、濱田さんは、一緒にいる時間も長かったですし、そういうことが多くありましたね。特にすごいなと思ったのは、8話で東堂が語るシーンの空気感。怒りもあるし、「なんでお前が」という思いもあるし、でも「この人の子どもは未だに見つかってないしな」っていう。そこの表現は見ていてしっくり来たし、そういう空気感に持っていった彼らはすごいなと思いました。さらに、そこから東堂の事務所に行って、東堂が「実咲ちゃんを助ける」と言った後の、二宮さんの“東堂を許したのかな、どうなのかな”という表情がすごく好きで。東堂に寄り添っているようにも見えるし、すごく絶妙な感じ。友達だからこそ出てくる自然な表情で、とにかくすごいなと思いましたね。

関連記事