『カムカムエヴリバディ』懐かしい顔ぶれでスタートした最終週 再会はどこまで続く?
喫茶店「Dippermouth Blues」で「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」と“あんこのおまじない”を唱えながらコーヒーを淹れるるい(深津絵里)の姿が映し出される。年を重ねたるいと錠一郎(オダギリジョー)は、日本へ帰ってきたひなた(川栄李奈)の声を聞くと穏やかに微笑んだ。一瞬、もう1週間分の話を見逃している? と疑ってしまうくらいの驚きの導入で始まったNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』最終週。
物語は「クリスマス・ジャズ・フェスティバル」の開催を控えた2003年へと遡る。12月25日当日は懐かしい顔ぶれが揃った。
錠一郎は「アメリカのお母さんのために歌う時に、大阪のお母さんがいたら心強いかなあ思うて」と、若かりし頃のるいがお世話になったクリーニング店の和子(濱田マリ)を呼んでいた。「るいちゃん」と呼ぶ和子の変わらない優しい声色に、るいは思わず涙をこぼす。和子の夫・平助(村田雄浩)の姿はなかったが、ひなたが3歳になる頃までは交流があったことが語られた。和子が取り出したアイロンのかかった白いハンカチは、るいが初デートの時に平助が持たせてくれたものを思い起こさせる。そこに彼の姿がなくても、存在が感じられる演出に心動かされる。
そして錠一郎にも、懐かしい人物との再会が待っていた。トミー(早乙女太一)は、ジャズ喫茶「Night and Day」の支配人・木暮洋輔(近藤芳正)をフェスティバルに呼んだ。木暮との再会に錠一郎は、るい以上に涙を流す。木暮に会えたことを心の底から嬉しく思っているのがわかるオダギリの笑顔、木暮演じる近藤の喜びを噛み締めるような表情、そして「今日の演奏は特別になるから」と口にしたトミーの感慨深い顔つきが印象に残る。木暮とトミーは、トランペットを吹けなくなった錠一郎の苦悩を知っている。そんな彼らが再び出会い、あのような表情を見せたことで、錠一郎は音楽の世界に戻ってきたのだと改めて実感できた。