『元彼の遺言状』新章突入で見えた綾瀬はるかと大泉洋の相性の良さ 関水渚が今後の鍵に?

 前回までのような、外界からほとんど閉ざされた別荘を舞台に繰り広げられる相続をめぐる一族の骨肉の争いという、古典的かつ大掛かりな空気感をまとったミステリーと比較すると、急にこざっぱりとした印象を受けなくもない。第2話まででドラマタイトルになっている原作小説の映像化を済ませ、続編短編集の映像化(+オリジナルストーリー)へと舵を切った『元彼の遺言状』(フジテレビ系)。4月25日に放送された第3話は、あくまでも“こてしらべ”といったところだろうか。

 “元彼”栄治(生田斗真)の遺言状によって、彼の顧問弁護士だった村山(笹野高史)の「くらしの法律事務所」を継ぐことになった麗子(綾瀬はるか)。篠田(大泉洋)に雑用をさせるものの、仕事の依頼は“町弁”らしく金にならない案件ばかり。そんななか、武田信玄と名乗る人物から依頼を受けて殺人事件があった商店街の不動産会社へ。殺されたのはその不動産の社長の進藤という男で、依頼人の武田信玄はホストクラブで働く黒丑という青年(望月歩)だった。商店街では再開発をめぐる立ち退き交渉がもつれており、麗子はそのプロジェクトを主導する建設会社にある提案を持ちかけるのである。

 “しのだをたのんだ(=篠田を頼んだ)”という栄治から麗子に向けられたメッセージが、ここから先の“元彼の遺言状”というタイトルの意味を背負うことになるのだろう。金になる仕事にしか興味が持てず、町弁になりながらも大手事務所にいた時と同じように(むしろそれ以上に)仕事ができると信じてやまない麗子の空回り具合と、ミステリファンとして独自の推理を働かせる篠田の空回りは、“バディもの”として見るに相性は決して悪くない。中盤に篠田が繰り広げる“土に埋まっている”という発想が糸口となり、麗子が手に入れた立ち退きリストの名前から答えへとつながるという両者のキャラクター性/職業性が活かされたところも“バディ”としての価値を確かに生んでいる。

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