『ファイトソング』の理想的な三角関係 間宮祥太朗演じる芦田は恋で“強くなった”人?

 無事に曲を完成させるもののコンペに落ちてしまい、花枝(清原果耶)に別れを告げる芦田(間宮祥太朗)。花枝の耳の手術の前日を待たずして、劇中の言葉を借りれば「チーン終了」といったかたちで終わりを迎えることになった2人の“恋の取り組み”。2月8日に放送された『ファイトソング』(TBS系)第5話は、ついに慎吾(菊池風磨)に告白のチャンスが訪れる。概ね予想通りのクライマックスになったとはいえ、これは予告の触れ込み通り怒涛の展開と呼ぶにふさわしい。

 恋の取り組みが思わぬかたちで終わることに自分でも驚くほど落ち込んでしまう花枝。そこで慎吾は花枝を元気付けようと凛(藤原さくら)と一緒に3人でキャンプに行くことを提案する。一方で芦田はコンペには落ちたものの曲作りの楽しさを再認識。クリーニングにやってきた花枝のために約束だった「スタートライン」を弾き語りで聴かせ、握手とハグをしてきちんと別れることに。そんななか、慎吾はレコード会社の前で社長に直々にもう一度チャンスがもらえるよう頭を下げる芦田の姿を目撃してしまうのである。

 “心が動くこと”がドラマの根幹のテーマとなっているだけあって、今週も花枝と芦田の心は目まぐるしく動きつづける。むしろ花枝の心の動きに関しては、芦田が曲作りに専念するため会えずに連絡を待ちながら恋の取り組みの終わりを予感して落ち込み、曲が完成して会えたことで持ち直す前回のエピソードとよく似ている。終わりの予感からきちんと終わらせ、クリーニングという仕事を通してやさぐれた気持ちを浄化させ、そしてそれでも会いたいという思いを募らせていく。もっとも恋心というものはそんな波の繰り返しなのだろう。

 そう考えると、ひたすら一方向に花枝に想いを寄せながら、自分の想いをきちんと伝えるか・伝えないかということだけに延々と悩みつづける慎吾の心の動きの方が案外読み難いものがある。同じように慎吾をまっすぐに想い続ける凛。彼女もまた慎吾と同じ心の動きを、つまり幼なじみとして築き上げた絆を壊したくないというためらいの中にいる。それゆえ「あるもの壊さないと先に進めない」という言葉は凛自身に向けられた言葉でもあるわけで、花枝の「恋って人を弱っちくするよね」はあの場にいる3人全員に共通しているわけだ。その場に駆け込み空気をブレイクさせる芦田は、逆に恋によって“強くなった”人かもしれない。

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