さらに、安子編を彷彿とさせるのは、ひなたが吉之丞（石坂大志）を相手に怪我をしてしまう場面。割れたガラス瓶、横たわるひなたのそばに置かれた大きな石。一恵（清水美怜）からの第一報に、幼少期の苦い記憶がるいの脳裏をよぎる。膝の擦り傷で済んだのは、不幸中の幸い。同時に、ひなたがるいの額の傷を「旗本退屈男みたいでかっこええな」と何気ない会話に落とし込むことで、るいのトラウマをも浄化している。

　そして、もう一つ。安子編とリンクするのは、大月家にラジオがやってくることだ。あかね通り商店街の福引き1等の「熱海旅行」を当て、その券を売ったお金で小夜子と同じ英語教室に通う。少々ギャンブラーな錠一郎（オダギリジョー）との結託は、3等のラジオという思わぬ形になって大月家にやってきた。鳴るのかも怪しい、大昔の古びたラジオ。ダイヤルを回し聴こえてきたのは、「証城寺の狸囃子」。母・安子と歌っていたカムカム英語のテーマ曲が、るいの中でリフレインし始める。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK