【ネタバレあり】『ヴェノム』続編のエンドクレジットを解説 今後の動きはどう変化する?

・もともとスパイダーマンとヴェノムはマーベルのキャラであり、ヴェノムはスパイダーマンのコミックから生まれたから、コミックにおいてはスパイダーマンとヴェノムの共演は珍しいことではない。

・ただし映画化は事情が違う。マーベルの中でもスパイダーマンおよびスパイダーマンのコミックに登場するキャラの映画権はソニー・ピクチャーズが持っている。一方、それ以外のキャラ=アイアンマン、アベンジャーズはディズニー傘下のマーベル・スタジオがもっている。

・マーベル・スタジオはこの権利を使って、アベンジャーズを軸とするMCUを展開している一方、ソニーはスパイダーマン系のマーベルキャラを使った、MCUとは別のソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)を掲げ、このフレームの中で『ヴェノム』やアニメ『スパイダーマン:スパイダーバース』などを展開。ただし、ピーター・パーカー/スパイダーマンだけは「スパイダーマンが他のヒーローと共演しているところを観たい」とのファンの声に応え、SSU籍でありながらMCUで活躍することができる。

・こうした事情からSSUは(スパイダーマンをMCUに“出向”させているため)、本来スパイダーマンとの因果関係から生まれたヴェノムの誕生物語を“スパイダーマン抜き”構築した『ヴェノム』を公開する。つまり、これまではトム・ホランドのスパイダーマンものはMCU、トム・ハーディのヴェノムものはSSUという全く世界観の異なる映画だった。

 繰り返しになりますが、このMCUとSSUがつながってしまったわけです。ただし、これもマルチバースを当てはめれば説明できます。

 MCUとSSUは映画ビジネス的に“別物”ですが、マーベル・スタジオとソニーが話をしてこの2つがマルチバースの関係と認め合えば、ストーリー上で両世界をつなげることはできるはずです。すでに予告編からもわかるように、今度の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は旧スパイダーマン映画(トビー・マグワイア版スパイダーマン、アンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマン)の世界のヴィランたちが、ドクター・ストレンジの魔法によってユニバースを超えてMCUの世界にやってくるわけです。このユニバース超えの事象がヴェノムの身にも起こった、と考えるべきでしょう。

 とにかくこのシーンによって、ファンが夢見たトム・ホランドのスパイダーマンとトム・ハーディのヴェノムの共闘、いや対決をスクリーンで観ることができそうですね。また次の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』になんらかの形でヴェノムが出てくるのかも注目です。

 ところでこのシーン、観直してみてあることに気づいたのですが、どうやらヴェノム(シンビオート)はテレビ画面に映ったピーター・パーカー/スパイダーマンを見ながら「こいつか」と言います。要はヴェノムはピーター・パーカー/スパイダーマンのことを知っていたともとれる演出が施されています。そこで思い出すのが、2つのユニバースがつながる前にヴェノムがやろうとしていたのが「HIVE MIND」。すごく大雑把にいうと、コミックの設定ではあらゆるユニバースに存在するシンビオートたちの知識や精神の集合体みたいなものがあり、それが「HIVE MIND」です。要はこの宇宙についての膨大なデータベースみたいなものですね。したがってヴェノムはこのHIVE MINDにアクセスすることによってマルチバースの存在、スパイダーマンの存在をそもそも知っていたのではないでしょうか? だからピーター・パーカー/スパイダーマンを見た時のリアクションが「こいつか」なのではないか、とも考えられます。

 さてもう一つ、気になることを最後にご説明しましょう。危機一髪の状況で助かった刑事マリガン。最後のシーン、何かが取り憑いたのかちょっと目が変ですね。実はコミックではマリガンにもシンビオートが取り憑きトキシンというダークヒーローが誕生するのです。このシーンはトキシン誕生を示唆していると考えられており、『ヴェノム3』が作られるとしたらスパイダーマン、トキシンが登場するかもしれません。

■公開情報
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
公開中
監督:アンディ・サーキス
脚本:ケリー・マーセル
原案:トム・ハーディ/ケリー・マーセル
出演:トム・ハーディ、ウディ・ハレルソン、ミシェル・ウィリアムズ、ナオミ・ハリス
配給:ソニー・ピクチャーズ
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